2004-06-14[n年前へ]
■「コピーのコピーはオリジナル」
アナログの時代には、オリジナルのコピー、そして、そのコピーのコピーは新たなオリジナルを生むという図式があった。たとえば、写真においては、ネガの印画紙へのプリントは光の鉛筆による痕跡のコピーだが、それは、まさに、新たな創造だ。 いみじくも、ヨセミテの風景写真で知られるアメリカの写真家アンセル・アダムスは「ネガは楽譜、プリントは演奏」といったそうだが、まさにその通りだと思う。でも、デジタルの時代はちょっと違う。オリジナルとコピーの間には、1bitたりとも相違がないのだ。いや、それ以前に、コンピュータはコピーしか扱えないという宿命を背負っている。山田祥平のRe:config.sys.
2004-06-30[n年前へ]
■富士通研、印刷画像に暗号データを埋め込む技術を開発
画像を0.8mm四方のブロックに分け、隣接する2ブロック間の黄色の平均濃度の差分を用いて数字を符号化し、印刷された画像内に暗号データを埋め込むという技術。画像の色バランスはプリンタやコピー機によって異なるが、「全体の濃さが変わっても、差分は変わらない」というが、例え「黄色自体は視認度が低い」とはいえ(方式によっては他色が)ざらついて見えそう。
それに加え、一般的に視認度が低い黄色に付け加えられている偽造防止用のコード等との兼ね合いも面倒かも。
2004-07-03[n年前へ]
■気になるひとこと
「考えることを要求する広告」というコンセプトの青春18切符のキャッチコピーは、「見る人に頭の中で考え想像させつつも、マイナスイメージを持たれない」のではないか、という考察を行った「一言の効果」から。
最近の日本の新聞には連日「沈没」「滅びる」「だめだ」の文字が躍っている。 今日も私たちは一言に一喜一憂しながら一日を過ごす。 もし言葉に何らかの力があるとすれば、こうしたマイナス表現を少し効果的な一言に工夫できれば、また違った明日が訪れるかもしれない。
■青春18きっぷは定義式
今年の春の青春18切符のコピー
√a = 18旅路(ルート)の中では、人はいつも18(age)である。に対してのツッコミ
ちなみにこの公式には”落とし穴”があり、普通に解くと「a=324」と答えが出てしまいます。誰がどのような旅をしても心の中ではいつも18歳、と伝えたいのでしょうか。を見る。
それは、"="の定義次第に違いない。このコピーの作者は実は数式処理系に堪能で、"="は、いわゆる等号"=="ではなく、代入の"="かもしれない。つまり、「√aというものは全て18が代入される」という手順を意味しているというのも自然かもしれない。
そして、さらにこの式は"√"という演算子(もしくは関数)を定義する式であって、(例えばMathematicaなら)この式は
root(a_) := 18
なんていう内容を書いてある、とも自然に読むことができるだろう。すると、これは「ルートをとるとどんなaも全て18になる」という定義だ。もっと素直に言い換えれば、それはコピーそのままの「旅路(ルート)の中では、人は誰でも18(age)になる」である。そういう処理を行わせるものこそが「旅路(ルート)」というものなんだ、と高らかに定義・宣言する式である。
そして、(「女の子=悪」の証明風に言うのなら)「人のルート(root=根底にあるもの)はそんな18才の頃のようなものだ」とさらに想像してみるのはどうだろうか。青春18きっぷのポスターに書かれた小さな式は「旅は人を18歳の頃の気分にさせる。そして、それこそが人の根底にあるものなんだ」という言葉だと勝手に想像してみるのだって面白いはずだ。
青春18きっぷの公式から"a=324"なんてなんだか少しツマラナイ答えを導いてしまうのではなくて、もっと色んな想像をして色んな答えを導いてみるのも良いのじゃないかな、と思う。答えが(自分の知識の範疇で想像できる)一つだけなんていうのは「青春18きっぷ」には似合わない。もっと、色んな期待とともに線路の先を眺めた方が、きっと面白いことを見つけられるに違いない。
2004-07-12[n年前へ]
■震源地ゲーム
平田オリザの「演技と演出」を読んでいる。その中に出てくる「震源地ゲーム」というものに興味を惹かれた。「(鬼以外の)全員で輪になって、輪の真ん中に鬼を置きます。輪の中の一人が-震源地-役になって、その震源地が何か動くと、同じ動きを全員がしなければならない。そして、鬼は誰が-震源地-かを当てなければいけない」 そして、障碍者が-震源地-の時には、なかなか鬼は震源地を当てられなくて、オロオロする。
人が上手く動けないほど、「震源地ゲーム」は面白い。逆に言えば、-震源地-から全く同じように動きが伝わる世界なんてつまらない。コピー&ペーストのように、何も変わらないまま動いていくそんなものは少しつまらない。
誰かが無意識に動いて、その無意識の動きの中に違う何かを他の誰かが見いだして、そしていつの間にか時間をかけて何か不思議な波が伝わっていく、そんな世界の方がきっと面白いと思う。
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