hirax.net::Keywords::「ドン・キホーテ」のブログ



2008-02-09[n年前へ]

合成されたドコモ・コマーシャル「国境を越えて」 

 瑛太と蒼井優が、日本の駅やバス停のベンチで、オーストラリアの荒野を走る道の上から、あるいは、マレーシアの川を走る船に乗って、ケータイ越しに会話を続け、最後にパリの凱旋門前で運命的に出逢う、というストーリーのNTTドコモのコマーシャル「DoCoMo 2.0「国境を越えて」篇(ロングバージョン)」には、(ロケでなく)合成撮影も使われているという話が、鴻上尚史の「ドン・キホーテのピアス」に書いてあった。CMのメイキングを見てみると、確かにニューヨーク・マンハッタンのビル屋上シーンなどで合成撮影をしていることがわかる。

ねぇ。…なのかな?
どうなんだろうね。

 「最後にパリの凱旋門前で運命的に出逢うシーン」も合成撮影で作られていて、この出逢うシーンの撮影とケータイの会話の音録りが一番最初に行われており、瑛太と蒼井優が二人揃う共演はその初日が最初で最後だった、という。「最後に出逢う」シーンが、「最初に」合成撮影されていて、それが「最初で最後の一日」だった…ということを知ると、何だか少し面白い。

人に訊かれて、「たぶん」って答えた。
「たぶん」て何よ。

 このコマーシャルを見ていると、その背後に「判断」とか「決定」とか「たぶん」とか、そして「運命」とか、…そんな言葉の流れが見えてくる。そんな言葉が地球の周りをグルグル電波に乗って回っている。コマーシャルは、社会を写している。

ねぇ運命って信じる?
たぶん。
また「たぶん」なんだ。

DoCoMo 2.0「国境を越えて」篇






2008-05-31[n年前へ]

鴻上尚史の「仕事の分類」「恋愛関係の分類」 

 鴻上尚史のドン・キホーテのピアス(668)に、俳優やミュージシャンになろうとする子供を応援する親が増えてきたことに驚きつつ、「きっちりした仕事」「浮き草のような仕事」や「実業」や「虚業」といった区別に意味のない時代になっていて、「やりたい仕事」「やりたくない仕事」くらいの区別しかできなくなっているのかもしれない、ということが書いてあった。

 もっと厳密に言うと、「やりたいけどやれない仕事」と「やれるけどやりたくない仕事」と「やりたくないけどやらなきゃいけない仕事」ということかな。
 おっ、まるで、恋愛関係みたいだ。
 鴻上尚史 ドン・キホーテのピアス(668)
 「「手作り三次元グラフ」と"Life Work"」や「"複雑極まりない"複素平面」上に「仕事」と「趣味」を描く」で作った分類(黒色の横軸="他人の満足"という軸。あるいは、その"他人の満足"が形を変えた”お金”といったもの、青色の縦軸は"自分(本人)の欲求・満足"を示す軸、赤色の軸は"時間軸")に少し似ています。

 少し似てはいますが、鴻上尚史の分類には上のような分類とは決定的に違う・それはまさに決定的な軸がひとつ入っています。それは「やれるけれどやりたくない」と「やりたくないけどやらなきゃいけない」の間で迷い・決定するという「選択肢・意思」です。その選択や意思の軸が、鴻上尚史の分類では明確に描かれています。
 私が描いた三次元図では、もしも人がこの三次元中を移動していくように見る場合には、その人が(その人の仕事が)動く軌跡の過程の中にその選択肢が含まれているというわけです。

 俳優とかバンドマンどか、表現にかかわる仕事の多くは、「失業が前提」の職業になります。……「やりたくてやれる俳優の仕事」が来る日まで、「やれるけどやりたくない俳優の仕事」をするかどうか迷いながら、(「やれるけどやりたくない俳優の仕事」をするくらいなら、レストランのバイトなんかの)「やりたくないけどやらなきゃいけない他の仕事」で生き延びるのです。
 鴻上尚史 ドン・キホーテのピアス(668)
 ふと、私が描いた「自分の満足軸」と「他人の満足軸」が一致してしまったりすると、あるいは、その区別ができなくなってしまうと、「自分自身の満足」というものは得られない・見えなくなってしまうのかもしれない、と思う。
 この資本主義社会に生きている限り、商品とは、他人の欲望を具体化したものです。自分が作りたいだけでは、それは商品とはなりません。それが、他人が欲望するものとなって初めて商品となるのです。
   鴻上尚史「名セリフ!」文藝春秋社
 …問題がひとつだけあるとすると、優秀なセールスマンほど他人の欲望をまず一番に考え続ける結果、自分の欲望がわからなくなることです。いったい、自分は何がしたいのか、自分の人生の意味は何なのか、全くわからなくなるのです。
   鴻上尚史「名セリフ!」文藝春秋社

2008-09-02[n年前へ]

「舞台ドラえもん」と「タケコプターの予算」 

 鴻上尚史の「ドン・キホーテのピアス No.681」で9月4日から始まる「舞台版 ドラえもん のび太とアニマル惑星」の紹介がされていた。その紹介文中の次の一節に興味を惹かれた。

 (タケコプターで)のび太は飛びます。でも、5人全員、ドラえもんものび太もジャイアンもスネ夫もしずかちゃんも同時に飛ばそうとすると、チケット代は1万円以上になります
 …予算的に限界がある中で、なにができるか?と考えるのも、演出家に出された課題なのです、その課題を解くのが難しかったかと言うと、これが、楽しくて楽しくてしょうがなかったのですよ。

 『世の中にある問題は、普通必ず「制約付きの問題」ですよね?それに、「制約付きの問題」じゃないと「答え」なんか出てこないじゃないですか。「制約」がないんだったら、問題を解く必要なんかなくなっちゃいますよね』という話を経済学の中島教授から聞いたとき、そのフレーズがとても面白くて、思わず笑ってしまった。結構、心が疲れていた頃だったと思うのだけれど、本当に楽しくて笑ってしまったことをよく覚えている。

 パズルを解くのが楽しくて、謎を解くのが好きで、何かを実際に作り上げるのが好きな人たちは、みんなこんなフレーズを面白く感じ、興味を惹かれるのではないだろうか。

 幅広い心を、下らないアイデアを、軽く笑えるユーモアを、上手くやり抜く賢さを、大げさに言うのならば、きっとそういうことなんだろう。誇らし気に言うのならば、きっとそう言う感じだろう。

2009-05-18[n年前へ]

「僕たちの好きだった革命 

 鴻上尚史の「ドン・キホーテのピアス」 No.716 から、「僕たちの好きだった革命 」再演について。

 1969年に行き、30年たって47歳で高校2年生として復学してくる中村雅俊さん演じる山崎は、行ってみればドン・キホーテです。
 ・・・「どうしてそんなにガンバルの?」と片瀬那奈ちゃん演じる未来(みく)は・・・聞きます。
 山崎は答えます。「未来(みらい)を信じているからさ。」
 未来は納得できません。「ほんとにいいい未来になる?」と思わず聞きます。山崎は驚いて返します。・・・

2009-05-19[n年前へ]

金融資本主義という「システム」について 

 鴻上尚史の「ドン・キホーテのピアス」 No.716 から、「僕たちの好きだった革命 」再演について。 から

 それは、「私たちは、金融資本主義という失敗しつつあるシステムに生きていることはよくわかっている。かといって代わりにどんなシステムを提示したらいいのかわからない。けれど、今のままのシステムが間違っていることだけははっきりしている」という実感に生きる社会です。



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