1999-05-30[n年前へ]
■パーマンのパラドックス
ボトルネックは何処だ?!
以前、
ハードディスクのエントロピーは増大するか?- デフラグと突然変異の共通点 - (1999.03.28)
の最後に「突然変異(あるいは、ハードディスクで言えばデフラグメント)のような現象が起きて、エントロピーが減少しない限り、熱的死(いや企業や会社であれば画一化、平凡化、そして、衰退だろうか)を迎えてしまうのだろう。」と書いた時に少し不思議な感じがした。それは、次のような矛盾を感じたのである。
まずは、
- 何事につけても、全体としての強さは一番弱いところで決まってしまう。
- 全体としての完成度を高くするためには、どこの強さも同じであるのが理想的である。
- 従って、全体を構成する部分というものは均質であるのが理想的である。
もし、ビルの鉄骨の一部に弱い所があれば、そこから崩壊が始まり、いずれビルが崩壊することは免れないだろう。
精度・力が高い所がいくらあろうと、「一番精度・力が低い所の=全体の精度・力」なのである。従って、一番精度・力が低い所を改良するのが全体としての完成度を高めるための唯一の方法である。
これは、モノであろうが、個人であろうが、グループであろうが同じである。例えば、写真を撮って出力することを考えよう。いくら写真の素材が良くてもカメラマンの腕が悪ければ駄目であるし、写真自体が良くても、写真の出力装置が悪ければ、それもやはり駄目である。そもそも、カメラマンが狙う被写体自体が悪ければ、答えはやはり同じである。
従って、精度・力を揃えた均質的な状態でなければ良いものは生まれないわけである。
これと、先の「画一化、平凡化、そして、衰退」すなわち、「画一化は良くない」ということの間に矛盾を感じたわけである。
しかし、少し考えてみると特に矛盾が無いことがわかる。ロボットを作る場合を考える。
- まずは一人で機械系も電気系もソフト部分も自分で作っていた。
- ソフト部分がどうも苦手なので、ソフトが得意な友達に手伝ってもらう。
- すると、電気系が比較的うまく行かないようだ。
- そこで、友達の友達に電気系を手伝ってもらう。
- それぞれ得意な部分で力を発揮し、特に弱いところもなくなった。
- ロボットの完成だ。
それでは、数学的にふざけたことを考えてみる。といっても、難しく考えるのではなく、中学生でも知っていそうなあの式を使うのである。
簡単の為にX,Y二つの部品からなるものを考える。それらの単独での精度(あるいは、出力)をx,yとすれば、全体としての精度(あるいは、出力)を考えると、それは(x* y)^(1/2)と置くのが自然だろう。それぞれ単独であれば、単なる和としては(x + y)/2であるわけである。ここで、2で割ったり1/2乗しているのは規格化しているようなものである(あとの落ちに繋げるためでもあるのだが...)。
今やりたいことは、(x * y)^(1/2)がなるべく大きくなるようにしたいのである。というわけで、相加相乗平均の関係式の登場である。
x->(0,50),y->(0,50)の範囲で図示したもの | |
(x+y)/2 ...相加 | |
(x * y)^(1/2) ...相乗 | |
(x * y)^(1/2)-(x + y)/2 ...相乗-相加 |
すなわち、x=yの時に(x * y)^(1/2)は最大になるわけである。良く知られている、相加相乗平均の関係式である。今回の話では、それぞれの精度・力が均質であれば理想的というのはこういったことである。異なる分野・方法で力を発揮しという方は簡単だ。異なる分野・方法で力を発揮するのでなければ、わざわざ乗算、すなわち、いっしょに組ませる必要がない。
さて、タイトルの「パーマンのパラドクス」であるが、少々疲れてきたので、本題は次回にしたい。今回はタイトルについての考察を上の話に絡めてしてみるに留める。
私は「パーマン」についてほとんど知識がない。TVアニメを観ていた記憶がある位である。だから、パーマンの名前の由来が何であるか知らない。スーパーマン+罰としての「パー」からきているのかもしれないが、ここで勝手な想像をしてみる。英語で考えてみると、par=同等、同水準、平均であるから、par-manは「平凡な主人公ががんばってスーパーマンになる」という気持ちが込められているのかもしれない。これはありそうな話である。
ここで、「平均」でなくて同等というような意味をそこに入れたらどうなるだろうか?パーマン1,2,3,4号に対して、par=同等、同水準、平均というような視点から考えてみるのである。あるいは、パーマンだけではなく、他で考えたらどうだろうか....
1999-08-14[n年前へ]
■年始は景気が悪いの法則
株価・為替グラフ表示ソフトを作ろう
自慢ではないが、私は経済には疎い。しかし、霞を食べて生きているわけではないので、勤務先の景気の行方は私の食生活を左右してしまう。その年の給料は年始に労使交渉の後に決まるのだが、何故か毎年その時期は勤務先の景気は悪いのである。当然、毎年不景気な労使交渉が行われることになる。
「何故か毎年その時期は勤務先の景気は悪い」と書いたが、わかっている理由もある。例えば、その前年末に売れてない製品を売れたことにして前年の売上に押しこめてしまうから、次の年始は当然製品の売れ行きが下がるわけである。従って、給料を安く抑えるためには、労使交渉を年始に行うのがいいと思われる。
そういうことはおいておいても、経済の勉強は少しはしなければならないだろう。こう思ったきっかけは、「今日の必ずトクする一言(http://www.tomoya.com/)」の
- 株価の先読みは可能か?(風水学的に店頭市場を見る編)
- (http://www.bekkoame.ne.jp/~jh6bha/higa9904.html#990427)
それでは、今回のサンプルには「カシオ計算機(株)」を使うことにしてみる。まずは、カシオ計算機の株価の最近一年間の変動を以下に示してみる。
さて、これだけでは何がなんだかわからないし、カシオ計算機の特徴もわからない。
- 他の会社の平均に対してカシオ計算機の特徴はどうか?
- カシオ計算機の株価と相関があるパラメータは何か?
他の会社の平均を調べるためには、日経平均株価を見れば良いのだろう。そして、カシオ計算機のような輸出を主体とする製造業の場合は、円vsUS$為替が株価と極めて相関が高いことが多いので、日経平均株価と円vsUS$為替の変動を示してくれるサイトがあれば簡単に比較ができるだろう。例えば、そういった情報はYAHOOやASAHI..COMから得ることができる。
しかし、大雑把に探した限りでは、日経平均株価と円vsUS$為替の変動を同時に表示してくれるサイトが見当たらなかった。そこで、日経平均株価と円vsUS$為替の一年間の変動を表示するソフトウェアEconomicを作成することにした(経済の勉強から離れてしまっている気もするが...)。
プログラムの内容はごく簡単で、ASAHI.COMにアクセスして「日経平均株価」と「円vsUS$為替の変動」を示す画像を取得して、合成するだけである。今のところ、proxy対応にはしていないが、そうするのもごく簡単なので、気が向けばproxy対応にするつもりだ。
また、動作のためにはSUSIEプラグインのJPEG対応プラグインを必要とするので「Susieの部屋」から適当なプラグインをダウンロードし、Economicプログラムと同じディレクトリか、システム、もしくはSUSIEアプリケーションのあるディレクトリに入れておく必要がある(経済の勉強をするのに、何故SUSIEプラグインの話になるのだろう? というツッコミは無しだ。)。Economicプログラムは以下からダウンロードできる。
緑 : 円vsUS$為替 紫 : 日経平均株価: |
- 他の会社の平均に対してカシオ計算機の特徴はどうか?
- カシオ計算機の株価と相関があるパラメータは何か?
それでは、このEconomicを用いて、カシオ計算機の株価の変動を見てみよう。
見比べてみると、カシオ計算機の株価は日経平均株価(左の紫の線で示してあるもの)とはあまり相関が無い。日経平均株価が右上がりで高くなっているのに対して、カシオ計算機の株価は最初に大きく低下した後に、低迷を続けている。
それに対して、円vsUS$為替の変動(左の緑の線で示してあるもの)と見比べてみると、ほぼ同じであることがわかる。輸出を行っているメーカーはどうしてもこうなってしまう。例えば、1円円高になると為替で数十億円も損失が出たりするのである。素晴らしい製品を作るかどうかよりも、円高になるか円安になるかの方が重要であったりするのだ。しかも、(私の気のせいだとは思うが)いつも年始は円高で、そのため毎年給料が不景気になるような気もするのだ。困ったものである(私が)。
さて、こういったプログラムは作るのが簡単な割に面白い(私としては)ので、色々と応用プログラムを作成して遊んでみるつもりである。そうして、いつか経済オンチを克服してみたいと思うのであった(経済の話なんかほとんど出てきてないような気もするが...)。
1999-08-29[n年前へ]
■「私と好みが似てる人」 その3
ドメイン一覧とreferer log
www.hirax.netはレンタルサーバー上で稼動している。1999/6月からレンタルサーバー業者を変えた。業者を変えた一番目の理由は、それまで依頼していた業者の規約で定められているデータ転送量を超えてしまう恐れがあったことである。もし、転送量を超えると割に高額な追加料金が発生してしまうのであった。安い居酒屋がある瞬間からボッタクリバーに早変わりしてしまうのである。
今回、レンタルサーバー業者を変えた後の3ヶ月間のLog解析をしてみた。以前、
私と好みが似てる人 - analog Windows版用のサブドメイン解析ソフトを作る- (1999.01.24)
でドメイン名から機関名への変換ソフトを作成したが、何しろ32kBまでのドメインリストにしか対応していないのでほとんど役に立たない。むしろ役に立ってしまっては(WHOISサーバーの負荷上)困るのである。従って、前回と同様のドメイン名とその名称の解析をするためには、ドメイン名リストの一覧を手に入れる必要がある。今回ドメイン解析をするために、「日本ドメイン一覧」を手に入れることにした。
かつてはJPNICの公開文書( ftp://ftp.nic.ad.jp/pub/jpnic/)から日本ドメイン一覧等の文書は自由に手に入れることができた。しかし、現在はフリーでは公開されていない。ftp://ftp.nic.ad.jp/pub/jpnic/domain-list.txtの中から引用すると、
これまで JPNIC では、JP ドメイン名リストと IP アドレスリストを ftpサービスによって一般公開してきましたが、プライバシー保護およびセキュリティ保全のため、1999年5月11日(火) より原則的に一般非公開といたしました。 JPドメイン名リスト、IPアドレスリストの利用申請については以下のURL をご覧下さい。 http://www.nic.ad.jp/jp/db/application.html関連文書: 『JPドメインのDNSゾーン情報・逆引き情報転送停止および JPドメインリスト等の配布停止について』 http://www.nic.ad.jp/jp/topics/archive/19990401-01.html |
しかし、FTPsearchで探してみると、その残骸らしきものがいくつかあった。例えば、
6.3M 1999 Feb 19 ftp.web.ad.jp /pub/Internet-Document/jpnic/domain/domain-list.txt
などだ。
このファイルを見ると、将来(といってもこのファイルはすでに現在のものではないが)使用されるであろうドメイン名が予約されており、面白い。
(hichiyahigashi-e # *予約ドメイン名* 日知屋東小学校)(hida-sh # *予約ドメイン名* 岐阜県立飛騨養護学校)(hida-sh-b # *予約ドメイン名* 岐阜県立飛騨養護学校高山日赤分校)(hidaka-ao-e # *予約ドメイン名* 阿尾小学校)(hidaka-chisaka-e # *予約ドメイン名* 千栄小学校)(hidaka-fuchu-e # *予約ドメイン名* 府中小学校)
今回はこのファイルを加工して、Logファイル解析ソフトのanalogで使用することにした。そうすると、日本国内のドメインからのわかりやすいアクセス解析をすることができる。試しにCO.JPドメインとAC.JPドメインの解析サンプルを示してみる。
%PAGE %Bytes
1205: 1.51%: SONY.CO.JP (ソニー株式会社)
794: 1.99%: NEC.CO.JP (日本電気株式会社)
607: 0.12%: SQUARE.CO.JP (株式会社スクウェア)
600: 1.09%: ADVANTEST.CO.JP(株式会社アドバンテスト)
548: 0.75%: HITACHI.CO.JP(株式会社日立製作所)
410: 0.66%: CANON.CO.JP (キヤノン株式会社)
395: 0.42%: FUJITSU.CO.JP(富士通株式会社)
313: 0.68%: FUJIXEROX.CO.JP(富士ゼロックス株式会社)
279: 0.54%: TOSHIBA.CO.JP(株式会社東芝)
267: 0.34%: SHARP.CO.JP (シャープ株式会社)
234: 0.30%: RICOH.CO.JP (株式会社リコー)
企業の人数の割にSONY,SQUARE,ADVANTESTといった企業はアクセス数が多いように思う。「私と好みが似ている人」が多いようである。また、namcoもこのすぐ下に位置しているので、SQUARE,Namco,Sonyというゲーム関係の企業が「私と好みが似ている」のかもしれない。
下は、AC.JPドメイン。
%PAGE %Bytes
761: 1.16%: U-TOKYO.AC.JP(東京大学)
672: 1.92%: KYUSHU-U.AC.JP(九州大学)
425: 1.09%: CHITOSE.AC.JP(千歳科学技術大学)
330: 0.45%: KYOTO-U.AC.JP(京都大学)
329: 0.32%: WASEDA.AC.JP (早稲田大学)
265: 0.39%: OSAKA-U.AC.JP(大阪大学)
230: 0.30%: HOKUDAI.AC.JP(北海道大学)
205: 0.39%: CHIBA-U.AC.JP(千葉大学)
168: 0.23%: HIROSHIMA-U.AC.JP(広島大学)
164: 0.80%: TSUKUBA.AC.JP(筑波大学)
163: 0.53%: TITECH.AC.JP (東京工業大学)
WEBのLog解析をして何が一番面白いかというと、知らなかった面白いことが載っているWEBを知ることができることである。どこかのWEBページからwww.hirax.netへのリンクがされて、それによりwww.hirax.netへ辿りつく様子はrefererlogを見ればわかるのである。試しにreferer logを解析した結果のサンプルを示してみる。
#reqs: URL
----- ---
1132: http://www.maqmakmac.com/
355: http://www.cds.co.jp/ff/bbs/minibbs.cgi
155: http://freebee.saccess.co.jp/~gridman/gfx/99summer.html
147: http://www.cds-co.com/ff/main.html
138: http://www.cds.co.jp/ff/main.html
114: http://www.jin.gr.jp/~nahi/link-misc.html
114: http://www2s.biglobe.ne.jp/~chic/pilot.html
82: http://www.puppenhaus.co.jp/mirror-site/fukatsu-eri.htm
63: http://www.cds-co.com/ff/zakki.htm
57: http://www.t3.rim.or.jp/~munemasa/links.html
57: http://www2.saccess.co.jp/~gridman/gfx/99summer.html
そして、そのrefer元の持つ情報は私にとってとても面白いのである。www.hirax.netにリンクを貼っているページの作者というのは大抵「私と好みが似てる人」であるし、なおかつ、私ではない。ということは、そこには
- 私の好みに合っていて、
- 私がちっとも知らないこと
そういったWEBを探そうと思っても、それはとても困難である。何しろ、キーワード検索ができないのである。キーワードで調べるにも「私がちっとも知らないこと」であるから、そのキーワードを私が思いつくはずがないのである。というわけで、「好みに合っていて、(私のちっとも知らないことが多い)新鮮なページを見つけるのは難しい」のであった。
しかし、それも今では違う。www.hirax.netのreferer logを見るとそういったWEBを見つけることができるのである。これがとても嬉しいのである。
2000-01-13[n年前へ]
■WEBサイトの絆
WEBの世界を可視化しよう
目に見えないものを実感できるものにしようと思うことは多い。「直接感じることが出来ないものを感じられる形にする」という作業とその結果には非常にわくわくさせられる。それは、きっと私だけではないと思う。
目に見えないものは色々ある。可視化して見てみたいものは多々あるのだが、以前、
の時に扱った、WEBのトポロジーなどもその最たるものである。WEBページはもちろん目に見えるわけではあるが、それらがどう繋がっているか、すなわち、WEB[= クモの巣(状の物);織物 ]そのものは目には見えない。ネットワークという目に見えない世界でWEBサイト同士がどう繋がっているか、それは企業のWEBサイト同士であれば企業間の繋がりを示すかもしれないし、公的機関のWEBであれば公的機関内部の繋がりが見えてくるかもしれない。そして、個人WEBであれば、個人どうしの繋がりが見えてくるだろう。そして、さらに考えを進めるならば、それが「WEBの繋がりだ」と端的に言い切ってしまっても良いと思う。
そういう色々なWEBサイト同士が互いに結びつき合う、つまりWEBそのものを今回は可視化してみたい。その結果はきっと「WEBサイトの絆」を私に見せてくれるはずだ。
例えば、ファイルシステムを可視化するものであれば、
- xcruise( http://tanaka-www.cs.titech.ac.jp/~euske/index-j.html )
そして、今回の本題のWEBサイトのHyperlink構造を可視化するソフトウェアも、少し探しただけでも結構ある。例えば、
- Site Manager
- ( http://www.sgi.com/software/sitemgr.html )
- HyperLINKWWW Visualization/Navigation
- ( http://www.acl.lanl.gov/%7Ekeahey/c3/navigate/navigate.html )
しかし、よく調べていないので間違っているかもしれないが、この辺りのソフト(appleを除く)はWEBサイト内のリンクのみに限られるようである。それでは、今回の目的とは違う。何しろ、今回知りたいのはWEBサイト同士のリンクの度合いである。WEBのトポロジーなのである。
そこで、もう少し探してみる。すると、今回の目的にかなり近い情報が
- Web構造の把握 宮久地博臣 都立科学技術大学大学院 平成9年度修士論文
- ( http://home2.highway.ne.jp/miyakuji/shuron.html )
やり方はどうしたら良いだろうか?宮久地氏と同じようにWeb Robotを作成して、データを集めるのが理想的だろう。しかし、「perl入門」を昨日やっと買ったばかりの私にはとても難しそうである。いや、もしそんなことをしたらとんでもないことになるに違いない。
そこで、perlのlwp-rgetを用いて各WEBの内容をローカルのPC内にダウンロードした上で、勉強がてらperlで解析を行うことにした。と、思ったのだが、lwp-rgetが上手く動いてくれない。まだドキュメントをちゃんと読んでいないせいだろうか?何故か、ダウンロードの途中で終了してしまう。仕方がないので、急遽作戦を変更し、ダウンロード作業はlwp-rgetではなくてwgetを用いることにした。
行った手順は以下のようになる。
- 5つのWEBサイトを広いWEB内から適当に選択する
- 選んだ各WEBサイト内のファイルについて、相互のハイパーリンクを抽出し、その数を解析する
- その結果を可視化する
以下に、解析を行った結果、すなわちサイトA,B,C,D,Eの相互に対するリンク数を示す。
↓から→へのリンク数 | |||||
0 | 2 | 0 | 27 | ||
1 | 0 | 13 | 273 | ||
20 | 2 | 0 | 43 | ||
0 | 11 | 0 | 285 | ||
1 | 1 | 1 | 1 | ||
合計 | 22 | 14 | 3 | 14 | / |
サイトE「日記猿人」へのリンクがムチャクチャ多いのは投票ボタンという形で、他のサイトからリンクがなされているからである。
さて、上の表からではWEBの絆を実感できないので、「WEBの絆」を3次元空間に可視化するJavaアプレットを以下に張り付けておく。WEBサイトが5つあるので、それぞれのサイトをピラミッド構造(四角柱状)に配置した。
各WEBサイトの表示色は、
- A = 赤
- B = 緑
- C = 青
- D = 黄
- E = 灰
それぞれのサイトから伸びる直線の長さは、そのサイトから他のサイトへ向かうリンク数に比例したものにしている。また、直線の太さもリンク数に比例させている。また、それぞれのWEBサイトを示す立方体の大きさは自分へ向かうリンク数に比例させている。ただし、サイトEの大きさはあまりにも巨大なため、リンク数に比例したものにはなっていない。また、サイトE、すなわち「日記猿人」、へのリンクは省略し、全てサイトEからの直線リンクを表示するだけにした。
さぁ、WEBサイトの構造を自分の目でみて、そしてグリグリ動かして見てもらいたい。このグラフの操作方法は
- 操作 = 作用
- マウス左ボタンドラッグ = 回転
- シフトキー + 垂直ドラッグ = ズームイン・アウト
- シフトキー + 水平ドラッグ = 垂直軸についての回転
- コントロールキー + 垂直ドラッグ = 焦点距離の変更
- マウス右ボタン垂直ドラッグ = 部品除去
- "s"キー = ステレオ画像作成
Java表示が上手く動かない人のために、静止画も一応張り込んでおく。
どうだろう?この5つのWEB間のWEB構造から何が見えるだろうか?こういう解析を数多くのサイトに行うと非常に面白い結果が得られそうである。特に「日記猿人」のようなコミュニティーに対して行うと興味深い結果が得られるはずだ。
私のような「日記猿人」の日記はほとんど読まない(サイトAに関しては大ファンであるが)人間にとっても興味深いのであるから、関係者にとってはきっと...の筈だ。
さて、今回はテストのためにごく少数(5つ)のWEBの解析を行ってみた。いつか、こういった解析を広い範囲で行い、そして、時系列的な変化をも調べようと思う。銀河のvoid構造が観測され、可視化されたものを見たときもとてもわくわくしたものだが、WEBの構造・変化ならばどうだろうか?
不思議なことに、そういうことを考えていると、「新宿都庁」と「思い出横町」が頭の中に浮かんできてしまうのは何故だろうか?押井守の影響だろうか。謎である。
そして、こうも思う。WEBネットワークの中でWEBサイトは何を感じているのだろうか?これらのWEBサイトはもしかしたら孤独を感じているのだろうか、それとも繋がりを感じているのだろうか?あの時のページの中の一フレーズがその答えの一つなのかもしれない。
2000-04-07[n年前へ]
■Canon Simplex +
オリジナルとコピーの追復曲
野田秀樹、NODA MAPの新作「カノン」が上演されている。観に行きたいのだが、距離のせいかなかなか見に行けそうにない。
観ていないので内容は知らないのだが、タイトルのカノンは「規範」を意味するギリシャ語のkanonだろう。英語で言えばcanonである。辞書でカノン(canon)を調べてみると、
- 規範、原則、標準、規準、根本原理 類似語 = "criterion"
- 基本的重要文献
- 真作品
- 教会法
- 聖書正典、正経
- 音楽形式のカノン、追復曲
- 48ポイントの活字
ちなみに、音楽形式としてのカノン=追複曲は、「主題としての一声部が応答としての他声部に模倣される形式」とある。「かえるの歌が聞こえてくるよ…」はその単純な例である。一つのメロディから導き出された旋律が重なり合っていくわけだ。あるいは、山下達郎の「クリスマスイヴ」の中間部のパッヘルベルのカノンといった方がわかりやすいだろうか。
音楽形式の「カノン」では、最初の旋律が主題であり原典である。そして、その模倣旋律が組合わさって、魅力的な音楽が作られていく。
ところで、「カノン」という言葉の意味の大きな割合を占める「聖書」という言葉を考えた時、音楽形式である「カノン」と似たようなものがある。
それは印刷技術である。と、書くと、唐突に感じるかもしれない。しかし、聖書の複製をきっかけとして広まった技術が、印刷技術である。それほど、関係がないわけではない。印刷技術は、グーテンベルク(ちなみに、今年はグーテンベルク= Gutenberg, Johann Gensfleischの生誕600年目である)の「42行聖書」から始った原典を複製する技術である。
印刷技術は、一つの原典から複数の複製物が作り出されていく。それは、一つの旋律から導き出された複数の旋律が追いかけていく、音楽のカノンそのものである。印刷技術はもうひとつの「カノン」なのである。
本来、「カノン」という言葉は「規準、原典、教典」を指すわけであるが、同時に、この「カノン」という言葉には「複製」という匂いがつきまとう。先の追復曲=カノン、そして印刷された聖書もそうだ。
グーテンベルクの「42行聖書」は200部程度印刷された。それらはいずれも色々な装飾がされ、同じ物は一つとしてない。どれも個性豊かなものである。音楽の「追復曲=カノン」でも、輪唱のようなごく単純なカノンを除けば、旋律は魅力的に変化されていく。旋律はどれも個性豊かなものである。個性がなければ、それはとてもつまらない輪唱に終わってしまう。
きっと、NODA MAPの「カノン」では野田秀樹の「言葉を繰り返し、次々と意味を転じさせて、そして、何者かを描写していく力」が発揮されるのだろう。考えてみれば、野田秀樹の「言葉を操るやり方」もカノンそのものである。模倣から始まったモノであっても、何かが新たに加えられていくならば、それは模倣でなくなって、きっといつかは原典になるのだと思う。逆に、あまりに原点としての「カノン」を守ろうとしたものは、それは単なる「コピー」に終わる。
さて、ところで「コピー」という言葉と「canon」という言葉を考えるとき、ある企業(が頭の中に浮かぶ。「Xerox」というオリジナル旋律に派生する企業である。
原典とされた「Xerox(富士ゼロックス)」はかつて、丸善石油のCM「オー・モーレツ!」を原典として、「モーレツからビューティフルへ」というCMを作り上げた。それは素晴らしい本歌取りである。60年代を代表する「オー・モーレツ!」という「キャッチ・コピー」を、「コピー」して、さらに変化させることで70年代へ繋がる「モーレツからビューティフルへ」という「キャッチ・コピー」を作り上げたのである。それはもう、一つの哲学であるといって良いと思う。
一方の企業は80年代に苺の「コピー」にミルクをかけてみせ、「本物と"コピー"の違いは見分けられない」というCMを作り上げた。原典と「コピー」に違いがあるのか?という問いかけである。それもまた一つの哲学だろう。
原典にこだわりすぎ、単なる「コピー」に終わるか、それとも、何者かを加え「本歌取り」としての「カノン」にすることができるか、それは「Vision」の有無にかかっている、のかもしれない。本当の「カノン」になるかは、「Vision」次第だ。そんなに深い意図はないし、適当に書いてみただけだけれど。
うーん、今回はやっぱり、「スクラップ」行きだな。(BGM & Title ゴルトベルグ変奏曲による14のカノンJ.S.Bach)