1998-11-18[n年前へ]
■スクリーンセーバー用の画像ファイルを作ろう。
Canon in HongKong 1998
以前、作成した「FilmStrip」用の「画像ファイル集」を作った。テーマは- Canon in Hongkong 1998 - である。何故、Canonかというと深い意味はない。
ダウンロード 「FilmStrip」用の「画像ファイル集」- Canon in Hongkong 1998 - (Copyright Jun Hirabayashi)
上からダウンロードしたファイルを解凍し、できた"bmp"ディレクトリを"C:\image"ディレクトリの下に置く。つまり、"C:\image\bmp"という形になる。そうすると、「FilmStrip」から使えるようになる。今回のテーマを使うと、実行中の画面は下の図のようになる。
このように、テーマを統一した画像ファイル集を使うのが、「FilmStrip」の作者としてのお勧めである。今回の画像の共通点と言えば、
- Canon
- 街
- 原色
今回のテーマの色合いは35mmリバーサルであれば、エクタクロームかベルビアといった所だろう。FinePix700のようなフィルム会社が出しているデジタルカメラの色特性(色再現性ではない)には非常に興味がある。コピー機メーカーと(オリジナルとしての)フィルムメーカーが出すデジタルカメラの色特性はもしかしたら違う傾向にあるかもしれない。コダックの出すフィルムが黄色(会社のイメージカラー)を強調し、富士写真フィルムのフィルムが緑(会社のイメージカラー)を強調していた、というのは本当かどうかはしらないが有名な話だ。そのような意図的な色特性があれば、それは個性として面白い。しかし、コピー機メーカーにはそのようなオリジナリティな発想はないかもしれない。いつか、それについても考えてみたい。
1999-06-27[n年前へ]
■それを決めるのは誰だ?
見えない「有害サイト指定」の疑惑
今回は全て三人称で語られるハードボイルドな話である。あるサラリーマン、ここでは「彼」と呼ぼう、の実験と、考えを書く。
今回の話の前段階として、
リモートカメラから世界をノゾこう!-Macintosh用カメラ制御プログラムを作る- (1999.06.26)
がある。この話の中に
MAQ?MAK?MAC! ( http://www.maqmakmac.com/)
へのリンクがある。ところが、彼の職場からはそのサイト、MAQ?MAK?MAC!を見ることができないというのだ。彼は会社内のLANとは別のルートでMAQ?MAK?MAC!へアクセスすることが多かったので、なかなか気づかなかったのだ。
彼の頭にある疑いが生じた。彼はその疑念を確かめるために、tracerouteでwww.maqmakmac.comのIPアドレスを直接調べることにした。彼の指はキーボードを叩く、
tracert www.maqmakmac.com (Windowsマシンである)
これでIPアドレスはわかった。彼は職場のマシンからwww.maqmakmac.comのIPアドレスを直接指定した上でアクセスを試みた。すると、彼の想像通りWEBの内容がきちんと表示された。「DNSがうまく動いていないないんじゃないの」という人がいるかもしれないが、そうではない。他のアドレス(後述する例外を除いて)に関しては問題ないのである。
彼の(疑いつつも)立てた仮説: www.maqmakmac.comを彼の勤務する会社は「有害サイト」として認識し、社内からwww.maqmakmac.comへのアクセスをブロックしている。
もうすこし、判りやすく説明するとこうなる。
彼の勤務する会社内のLANから社外へのGateWay内で登録された「有害サイト」のアドレス(URL)を検知して、アクセスをブロックするというシステム(URL検出法)を用いているのである。もしも、会社内からwww.maqmakmac.comというアドレスへのアクセス要求があったら、「駄目だよ」とその要求を蹴ってしまうのである。
しかし、www.maqmakmac.comというアドレスでフィルターをかけているので、IPアドレスを直接指定してやると、フィルタを通りぬけて、アクセスをすることができるのである。
彼の知る限りでは、明らかに彼の会社内で全社的にブロックされてしまうアドレスが確かにある。それが恐らく参考になるだろう。例えば、こういったサイトである。
おやおや、画面表示が少し異なる。ということは、意図的にブロックしているわけではないのか? あるいは、ブロックしている個所が違うのか? これだけではよくわからない。集まってきた情報によると、他の地域の部署ではwww.maqmakmac.comに関しては読みに行けるようだ。
URL規制プログラムで有名な
http://www.cyberpatrol.solution.ne.jp/
の指定する例によれば、「有害サイト」は
- 暴力/精神的、肉体的(画像または文章)
- 部分的ヌードと芸術
- 全裸
- 性的行為(画像または文章)
- 下品、残酷な描写(画像または文章)
- 差別、偏見(画像または文章)
- 悪魔崇拝、カルト(画像または文章)
- 麻薬関係(画像または文章)
- 武器、過激派(画像または文章)
- 性教育(画像または文章)
- ギャンブル、違法行為(画像または文章)
- アルコール、タバコ(画像または文章)
こういったURLアクセス規制は今回の例に留まらない。どこの組織でもあることなのかもしれない。こういったネットワークにからむ問題についてはもう少しオープンにして考える必要があるのではないだろうか。
彼はタバコを深く吸い込み、事件簿を閉じて、そして呟いた。「これ以上の真偽は確かめようがない...」
1999-07-18[n年前へ]
■hixの地図
好きな話は何処にある?
最近、本WEBのTopページが非常に読みにくくなっている。話題が多すぎるのだ。これでは、このWEBを見に来てくれた人がいたとしても、迷ってしまうだろう。きっと、好みに合うページを見つける前に他のWEBサイトにとんでしまうに違いない。自分の好きにやっているサイトとは言え、それは少し寂しい。そこで、自らhiraxサイトの内容について解説してみることにした。といっても、単に解説するのではつまらないので、多少の考察を含めながら、である。
他の人のWEBなどを眺めながら、自分のWEBの特徴を振り返ってみると、下のような図を持ち出すのが一番良いような気がする。これは横軸を「技術度」、縦軸を「感性度(完成度にあらず)」にしたものである。ジャンル1,2,3,4は大雑把に傾向で分類しようとしたものである。
他の技術系サイトを見た後に本WEBを見ると、どうも本WEBは技術的でない話が多い。主観的な部分がかなり含まれているのだ。他の技術サイトでももちろん主観的な部分はある。しかも、(私にはまだまだ出来ないのだが)説得力があるのだ。すなわち、ある程度の客観性が感じられる。しかし、私のサイトの中にある主観的な話は他の人に説得力があるとは思えないのである。妙な感覚的な話と技術的な話のカクテルみたいなのである。そこで、上のようなグラフが登場するわけである。
科学という立場から考えれば、客観的であり技術的にも高度な「ジャンル-2」が望ましいだろう。しかし、本WEBには技術的には高度でないし、客観性もない、という「ジャンル-3」も多い。例えば、
iMacはドラえもんの夢を見るか? -さようなら、ドラえもん - (1999.02.03)
などがそうだ。そして、その極限として「Scraps」がある。こういった状況が良いのか悪いのかよくわからないが、とりあず、それもまた個性ということにしておこう。
「ジャンル-4」の代表的な話としては
鴨川カップルの謎 -そうだ、京都、行こう-(1998.11.29)
というところか。「ジャンル-1」としては
コピー機と微分演算子-電子写真プロセスを分数階微分で解いてみよう-(1999.06.10)
というところで、「ジャンル-2」は
夏目漱石は温泉がお好き? -文章構造を可視化するソフトをつくる - (1999.07.14)
という感じだろう。まずは、自分の好みとあった所から眺めてみて頂きたい。また、裏で繋がっている話も多いのでそういう伏線を探してみるのも面白いのではないだろうか。
なお、私の書く文章ははどうも「本当に言いたいことを行間に隠してしまう」ようなので(表現力がないとも言う)、行間に隠れている(作者も気づいていない)応用など読みとって頂けたら幸いである。それを私に教えていただければ、なお良い。
1999-09-23[n年前へ]
■MiosoftはApple株でいくら儲けているか?
価値観は線形なままで
ユング心理学では因果関係が無い偶然の一致を「シンクロニシティ(共時性)」と呼ぶ。いろいろ意見の違いもあるだろうが、私は「シンクロニシティ(共時性)」は結局偶然のせいではなく、世の中の流れの要請による必然なのではないかと思うのである。
と、いきなり訳のわからない話だが、今回の話は「今日の必ずトクする一言」の
ともあれ、webmaster氏のメールのおかげで、株価の値軸が妙に頭に残る最中に、私は「MicrosoftはApple株でいくら儲けているか?」という疑問が沸いて、Appleの株価を見に行ったのである。何しろ、MicrosoftはAppleの大株主である。
一見似ているように思える。しかし、よく見てみると軸が違っている。左のAppleComputerの株価変動は対数軸で表されている。「株価表示グラフで値の軸を対数軸にできないか」という言葉が頭にあったせいで気づいたわけだ。そこで、この違いが新鮮で「今日の必ずトクする一言」のwebmaster氏への返信に至ったわけである。
それでは、左のAppleComputerの株価変動をリニアな軸に変換してみよう。
印象が全く違う。右の線形軸のグラフは値軸の間隔が等間隔になっているのがわかると思う。それに対して対数軸で表されている右側は上に行くほど間隔が短い。右の線形軸では株価が急激に上昇しているのが実感できる(私は)。株取引的な考察は「対数軸証券グラフのナゾ」の方にあるので、ここでは本題の「MicrosoftはApple株でいくら儲けているか?」に戻る。
さて、このグラフのようにApple株は急上昇中なわけで、問題の「MicrosoftはApple株でいくら儲けているか?」であるが、97/08/08当時の13ドル前後の株価で一億五千万ドル分のApple株を買っていたとしたら、現在は80ドルくらいであるから、およそ6倍。すなわち、一億五千万ドルから九億ドルになっていることになる。うーん、たまらん。800億円近い差が有る(線形的な発想)。
さて、最初の疑問はこれで解決したのだが、わが「できるかな?」でも株価の軸の
- 対数軸
- 線形軸
日頃、実験を行っている時などは
「たかだか一桁の変化だろう。」などと対数軸の感覚に支配されているのであるが、こと経済になると線形軸の感覚に支配されるのである。これは私が貧乏であるからかもしれない。1万円はどんなときも1万円なのである。10万円と11万円の違いも、100万円と101万円の違いも同じなのだ。これが一億円と一億一万円でも同じである。何しろ、そんなお金と無縁なのである。であるから、貧乏な金銭感覚をそのまま線形で延長してしまうのである。「金銭に関する差の感覚」といってもよい。
これは人によっても違うだろう。私と違うブルジョアジーな人であれば、例えば、車を買うときに
「300万円の車を買うから、30万円のカーナビを一緒に買っても誤差みたいなものだ。」という人もいると思う。また、「一億円と一億一万円は同じだ」と言うだろう。これなどは経済に関する対数軸の感覚の一種だと思う。この人は「金銭に関する比の感覚」を持つ人である
さて、こういうことを考えていくと、金持ちの1万円と私の1万円は価値が違うことにいまさらながら気づくのである。私は1万円もらったら大喜びだ。しかし、同じだけビル・ゲイツを喜ばせようと思ったら、九億ドル位は必要だろう。そういうことを考えると、経済社会は実に対数軸である。いや、むしろ世の中が対数軸だと言ったほうが良いだろうか?
今回の話とやはり似て非なる話がロゲリギストの「第四物理の散歩道」の「理解の形式」に述べられているので、興味の有る方は読むと面白いと思う。
さてさて、同じ題材をとってみても経済オンチの私が作る「できるかな?」は「「対数軸株価グラフのナゾ」」とは違い、ずいぶんと変な話になってしまったようである。しかし、それが個性というもの。みんなが同じではつまらない。
ともあれ、価値観に対する評価軸は線形軸の方が良い、と思う私であった。
1999-09-26[n年前へ]
■デバイスドライバーは仮免
ClearTypeの秘密
昨年、COMDEX/Fall '98においてMicrosoftが発表した「ClearType」技術というものがある。液晶ディスプレイなどの表示の解像度をソフトウェアのみで向上させるという技術である。PCだけでなく、液晶を使った電子ブックなどをターゲットにしているという。(参照:http://www.zdnet.co.jp/news/9811/16/gates.html)
技術の詳細については、「特許申請中」ということで、明らかにされていない。しかし、その技術について推論している人は数多くいる。例えば、
- Optimising LCD display of text( http://oxy.sfx.co.nz/lcdtype/ )
- The Technology of Sub-Pixel FontRendering ( http://grc.com/cleartype.htm )
ビックリすることに、確かに効果があるのである。カラーシフティングによりシャッキリした文字になるのだ。しかも滑らかなのである。デジタル接続の液晶を用いている方は確認すると面白いと思う。
もっとも、こういう画像はWEB上で納得するのは難しい。JPEGのような圧縮画像では、情報が完全には保存されず、意図した出力ができないからである。とりあえず、デジタル接続の液晶ディスプレイを使っている方はとにかく試してみると良い。目からウロコである。
さて、この原理であるが、カラーシフトについては色々なところで説明してあるが、若干わかりにくい画像例が多い。そこで、自分流に解釈しなおして考えてみたい。そして、実験してみようと思う。
まずは、右上から左下に走る黒字に白斜線を考えてみる。1ドット幅で、しかも、上から下へ行く間に1ドット右から左にずれるようなものである。液晶の1ドットはRGBが縦に並んでいる。例えば、
で計測した画像例だと、 1ドット幅で、しかも、上から下へ行く間に1ドット右から左にずれる黒字に白い斜線を考えてみる。これはそのような斜線を拡大したものである。
そのような斜線を液晶で描くと通常は下の左図のようになる。通常の処理が左で、カラーシフトを用いた処理が右である。通常の処理ではRGBの位置を同じものとして処理しているので、RGBそれぞれが同じように変化している。しかし、カラーシフトを用いた処理においては、RGBの各位置が異なっていることを考慮の上、処理を行ってみたものである。そのため、滑らかな斜線になっているのがわかると思う。
このように、デバイスの個性を把握した上できちんと生かしてやれば、デバイスの能力をもっと引き出すことができるわけだ。 個性の違いを越える世界というのは、個性を無視した世界とはまったく逆であり、個性を最大限理解して初めて個性の違いを超えることができるのだ。
さて、効果を確認するために、そのようなハーフトーンパターンを作成してみた。ただし、ここで表示している画像はJPEGに変換してしまっているので、効果は現れない。また、本来見えるはずの画像とはかなり異なってしまっているので、各画像をクリックしてオリジナルのTIFファイルをダウンロードして確認して欲しい。
さて、この画像ではわからないだろうが、TIFFファイルの方を見て頂くと、カラーシフトを用いた斜線ハーフトーンの方では、色模様が出現してしまっているのがわかると思う。それは、液晶のガンマ特性を考慮していないからである。
このガンマ補正については、一般的に使われるガンマの意味だけでないものが含まれている。一言では簡単には説明しきれないので、説明は次の機会にする。Free&Crearでもそのガンマ特性を調整する機能がついている。白地に黒文字であるか、黒字に白文字であるかの違いがあることに注意すれば、その数字の意味がわかる。ここでは、その補正をしたものを示すだけにしておく。と、いっても、私が使用している液晶のガンマを考慮したものなので、一般的には役に立たないだろう。
あなたが目にしている画像では、画像ではガンマ補正した方が変に見えていると思う。それは、私とあなたの使っているデバイス(と視点)が異なるからである。ここでやったのと同じやり方で、あなたの液晶に合わせて(なおかつ、同じ視点で)やれば、きれいに出るはずだ。
さて、この結果を私の液晶で見てみると、カラーシフトを用いた斜線(ガンマ補正後)の方ではきれいに斜線のハーフトーンが出ている。ただ、いくつか問題があるのだが、それは次回までの宿題だ。と、いってもヒントはすでに「できるかな?」中でも出現している。ごく最近の話題でも、だ。
このカラーシフト技術は実に単純なアイデアである。しかし、これは実に面白いアイデアであると思う。効果が有る無しに関わらず、こういうネタは私は大好きである。ただ、こういう技術が日本のデバイス屋さんから出てこないことが少し残念だとは思う。デバイスもドライバーも両方作っているところにがんばって欲しいものだ。それまでは、「デバイスドライバーは仮免」といった所だろう。 .....うーん、ちょっと、強引かな。というわけで、何故か私の手元にはPalm-size PCであるCasio E-500があり、そして、久しぶりにVisualStudioをいじり始めるのであった。。