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2008-06-26[n年前へ]

各席独立「振り子制御」の自動車はいつか登場するか? 

 BOSEのボーズ・アクティブサスペンションの公開写真・動画などを見ると、車体を水平に保つように制御していることがわかる。だから、荒れた路面の上でも乗客は揺れを感じないことになる。しかし、コーナリング時を考えると、車に乗っている人は左右へ揺れ動かされるような遠心力を感じてしまう。

 もちろん、ボーズ・アクティブサスペンションのような、車体を水平に保つような制御をかけることがない場合には、つまり、カーブ外側に傾く(ロール)ような場合には、左右へ揺れ動かされるどころでなく、それと同時に、車の乗員は上下に変化する加速度を受け、上に投げ出されるような力を感じてしまう。カーブ時にカーブ外側上方に体が浮かび上がる感覚というのは、かなり気持ちが悪く・不安になるものでもある。逆にいえば、そんな感覚を受けた運転手はスピードを(車の動きへの不安から)当然落とすことになる。だから、乗り心地はそれに比べればずいぶん良いに違いない。

 カーブを高速に走らなければならない特急などでは、列車車体を水平に保つのではなく、カーブ内側に傾けるような「振り子制御」を行うものもある。カーブ内側に列車の車体を傾ければ、カーブ時に外に引っ張られる遠心力が乗客の足もとの方向へと働くことになる。ということは、振り子制御をすれば、左右に揺れ動かされる感覚が減ることになる。さらには、カーブ時に受ける感覚が、「カーブ外側上方に体が浮かび上がる」ようなものではなくて、「体が下方向に(抑え)固定される」ような感覚に変わる。つまり、乗客がより「安心」を感じるような動きにさえ変わる、ということである。

 それならば、車のサスペンションもそんな振り子制御をすれば良いか、というとそういうわけでもない。カーブ(コーナリング)時に「体が下方向に(抑え)固定される」ような感覚に変わってしまう、つまり、これまでとは逆に「安心」を感じるようになってしまう。これはあまり安全ではない。

 まるで、タイヤのグリップ性能が増したかのように、あるいは、路面に適切なハングがついているかのように運転者感じてしまったならば、コーナリング時に適切な減速を行うことをしなくなってしまう可能性が高い。運行速度が厳密に守られている列車と違い、車の速度制御に対する運転者の自由度が高い車では、車の運転者の感覚に対し「車の状態」のフィードバックを適切に与える必要があるわけだ。車の状態に応じて、適切に「不安」「安心」を運転者に感じさせるのが安全なサスペンション設計である、ということなのだろう。

 しかし、運転者以外の乗客にもそういった『車の状態に応じた適切な「不安」「安心」』を感じさせた方が良いかどうかは、判断が分かれるところだと思う。運転手と同じように車の揺れを感じた方が良いかもしれないし、それとは逆に、車の素直な状態を感じる・知ることもなくただ安心して乗車していることができた方が良いのかもしれない。

 もし後者の考え、つまり運転者とそれ以外の乗客が受ける感覚も違った方が良いということになるならば、運転手とそれ以外の乗客に対する姿勢・上下位置制御が違った方が良いということになりそうだ。つまり、車の(少なくとも)運転席が車体と独立に「振り子制御」されるような自動車を作れば良い、ということである。

 そんな運転席と乗客席が独立に動く「振り子制御」自動車はいつか登場するだろうか?それとも、「運転手(席)」というもの自体が未来の車には存在せず、運転はすべて自動で行われるようになっていて、そんな各席独立「振り子制御」などそもそも必要なくなっているのだろうか。

2008-10-02[n年前へ]

GPSと加速度センサで「北京オリンピック会場の構造物監視」 

 2008年10月号のトランジスタ技術を読んでいて一番面白かったのが、川村祥子氏の「NI Week 2008レポート」だ。LabVIEW8.6の新機能や、PXI用FPGAモジュールFrexRIOの話もとても興味深く読んだのだけれども、他の何より面白かったのが「北京オリンピックのメインスタジアムの構造物を状態監視するシステム」の話である。

 「北京オリンピック会場の構造物監視、 LabVIEW利用で実現」といった記事でも紹介されているが、北京オリンピックの会場となったメインスタジアムには、11箇所のGPS受信機を備えたコントロールパネルと、640個(64個×11箇所のコントロールパネル?)の三軸加速度センサが設置され、振動データの収録・異常検知が行われていたという。

 何だか、色々な意味で目を惹かれてしまうシステムである。GPSは鉛直方向の精度は低かったと思うが、その低い鉛直方向精度でも判別できるくらい、高さ変化があるのだろうか。それとも、水平方向に動くのだろうか?加速度センサから得られる信号値の異常・正常基準はどのように作成されていたのだろうか?前もってシミュレーション計算でも行っていたのだろうか、それも観客が一部の興奮したとき・・・といったさまざまな条件で。・・・と考え始めると、とても謎が多く、その謎の多さに比例してとても面白く興味を惹かれた記事だった。

2008-10-19[n年前へ]

加速度P(I)D制御の防振エディタ 

 列車や飛行機や、あるいは、船の上といった場所でPCを使う人もいる、と思います。そんな人たちは、とりたてて多くはないのかもしれないけれませんが、きっと、そんな人たちもいると思います。つまり、揺れ動くノートPCの液晶を眺めながら作業をする人たちがいると思うのです。

 そんな作業は、目を疲れさせ、きっと視力を悪くします。・・・そこで、ノートPCに搭載されている加速度センサを使って、揺れの成分を取り除くようにWindowを動かすエディタを作ってみた。題して、「加速度P(I)D制御の防振エディタ」です。つまり、その瞬間の加速度=位置の差(Propotional)と、その瞬間の加速度の微分=位置の差の差(Differential)をさらに演算した結果を用いて、エディタのウィンドー位置を防振補正し、「揺れ動く環境の中でも目を疲れさせないエディタ」を作ってみたのです。

 そんな「加速度P(I)D制御の防振エディタ」を使っているようすを撮影してみました。それが、上に貼り付けた動画です。画面中央右の「加速度P(I)D制御の防振エディタ」が、その他のWindowsパーツと違って、防振の方向に動いている(動かそうとしている)のがわかるだろう、と思います。

ちなみに、その拡大動画が下に貼り付けたものです。画面右が防振エディタで、画面の左後ろにあるのが普通のエディタになります。
 ケータイで撮影した動画ではわかりづらいと思いますが、真面目にやれば効果が結構あるように思えるのです。・・・ということは、あと数年もすると、「加速度P(I)D制御のノートPCの防振表示画面」というものも、ごく当たり前になっているかもしれません。

2008-10-20[n年前へ]

防振エディタ・ソフトウェアのバイナリ 

 昨日作った「加速度P(I)D制御の防振エディタ」で作った防振エディタのバイナリを/misc/stabilizedEditorに置いておきます。いつものように、アイデア一発・作成20分という大雑把な作りなので、できることはテキストファイルの編集と、Open・Saveだけです。

 で、早速「昨夜、こんなソフト作ってみたんだけど」と前置きしながら一発芸ソフトを披露したところ、「プルプル震えて不安定ですね」「全然、綺麗に制御できてないですね」「大体、(位置値でなく)加速度値を使っているのにPD制御って、変じゃないすか?」「もう少し制御工学を勉強した方がいいんじゃないでしょうか?」と実に真っ当な技術論で喝破されていまいました。

 そして、それどころか、「それ、老眼促進ソフトですか?」「だから、そんなにフォントが大きいんですか?」とまで言われたてしまったわけです。・・・確かにそうかもしれないなぁと思いながら、誰かが、iPhoneとかで防振エディタ・ブラウザ・画面表示ソフトウェアが作ってくれたらいいのにな、とも思ったのです。

2008-10-26[n年前へ]

ニコンの超多機能ヘッドホン UP300x とUP300 

 ニコンが発表したヘッドマウントディスプレイ付きヘッドホン UP300x (UP300)が、さまざまな機能大盛りで凄い。何しろ、8GB(UP300は4GB)のフラッシュメモリを内蔵し、640×480画素の0.44 型 透過型LCDも備え、音楽も動画も再生可能なら、さらにはUSBは当然、無線LANも装備しているのである。

 そして、驚くことに、UP300xは(おそらく2軸の)加速度センサまで搭載しているのである。頭が上下左右に動くさまを認識するモーションセンサー付きで、電池込み385グラム、AV入力付き・・・ときたら、ハードウェア改造マニアの心を惹くこと間違いなしだと思う。

 改造用に何台も欲しい。しかし、販売価格は6万円代ナリ・・・というところが哀しいところだ。



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