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2000-01-17[n年前へ]

夜のバットマン 

超音波を可視化しよう

  どんなものに対しても、「超」という文字をつけるという安易な手段はよく使われる。「超人ハルク」、「超常現象」、「超能力少年」、「超解像」等々である。「超Ultra」+「人 Man」ならば「超人 Ultra-Man」、すなわち、ウルトラマンだ。こういう風に並べてみると、何かアヤシげなものが多いような気がするが、それは私の気のせいだろう。

  「超」をつければ、「モノスゴイ」という印象を受けるかというと、必ずしもそういうわけでもない。最近、「お笑いパソコン日誌」でよく取り上げられているBTRON仕様OS「超漢字」などは、その最たるものである。個人的には好きなネーミングなのだが、その名前を聞くと昔の「超兄貴」というゲームを思い出してしまうのだ。筋肉ムキムキなマッスルな兄貴達が動き回るゲームが思い出されるのだ。そして、そんなマッスルなデスクトップのイメージが連想されてしまうのである。困ったものである。

  「超」の発音は同じ日本人でも一定というわけではない。あまりものを考えないタイプの人の場合、「超」でなくて「チョー」という発音するらしい。その使用例が、「チョー、ムカツクー」などである。これらの人を「チョー人」と呼ぶべきである(既に誰かが言っていそうな気がするが...)。

  何故、こんな話になるのだ。話がずれた。

  本題である。今回遊んでみるのは「超 Ultra」+「音波 Sonic」=「超音波UltraSonic」である。色々な応用はあると思うが、まずは基礎から始めたい。そういった場合、色々やり方はあるのだろうが、まずは実感するのが「できるかな?」のやり方である。そこで、まずは超音波を実際に聞いてみることにした。

  普通は聞こえない周波数の音波を超音波というわけであるから、超音波を聞くというのは何ともスリリングである。参考までに、色々な動物の可聴域を以下に示す。
 人間は大抵20kHz前後が上限であり、コオロギと同じくらいである。超音波と言えば、コウモリであり、コウモリは200kHz弱位が上限のようである。

色々な動物のの可聴域
(立体視の不思議を探る 井上弘著 オプトロニクス社より)

   まずは、超音波を聴くための情報を探してみた。すると、何とも素晴らしいサイトがあった。

である。超音波を可聴域に変換する回路の話が掲載されている。超音波を聞こえるようにする機械は、一般的にバットディテクターと呼ばれるらしい。しかもこのサイトの中のバットディテクターを作る話の所には「メーターの変化、デジタル数値やオシロスコープの波形ではなくて実感したい。」と書かれている。本当に、その通りである。

  また、コウモリ探知器である。バットディテクターに関しては、

などにも詳しい情報がある。

  迷わず、先の「がーさんとたぬさんのホームページ」の「釜利谷東ミックスシーズ」から、バットディテクターを購入することにした。こういう楽しいオモチャはすぐに手に入れるに限る。これが、購入したバットディテクターである。

釜利谷東ミックスシーズ バットディテクター

  このバットディテクターは超音波マイクからの入力を40kHz程度の周波数の信号と合成するものである。そして、その結果得られるビート音、うなり音を耳で聞くものである。

  わからない人はほとんどいないと思うが、一応書いておく。例えば、10Hz周波数の音があるとしよう。

10Hzの音の10秒間の波形

  この波形は細かすぎて、この画面では目に見えないだろう。しかし、この波形と11kHzの周波数の音を合成してみる。

10Hzの音と11kHzの音の合成音の10秒間の波形

  すると、10kHzと11kHzの周波数の差である1Hzのうなりが発生する。この1Hzのビート音の波形は目に見えるだろう。こういう原理である。
 しかし、これでは実は説明が不十分であると思うのだが、今回はこれだけの説明で終わらせておくことにする。

  さて、どんな超音波を聴くかであるが、「できるかな?」の実験を行うときには、大抵ビールを飲んでいるのである。今日もビールとお好み焼きがそばにある。そこで、お好み焼きを焼く音を

  • 可聴域
  • 超音波領域
で可視化してみることにした。

  もちろん、私自身は自分の耳で実感しているわけである。しかし、WEBページ上であれば、可視化した方が良いだろう。waveファイルはサイズが大きいし...

お好み焼きを焼く音を可聴域で可視化したもの

  途中のスパイク部はお好み焼きをひっくり返した時の音である。レベルを合わせているわけではないし、実験は実に大雑把なものであるが、そんなに真剣に行う実験でもないのでこれで良いことにしておく。

お好み焼きを焼く音を超音波領域で可視化したもの(実際はビート音)

  硬いものと何かを擦ると超音波が実に多く発生するが、絨毯みたいな柔らかいもの相手ではあまり超音波が発生しなかったりして実に面白い。衣擦れの音などは実にリアルである。何か色っぽい音ですらあるように感じる。(それは私だけかもしれないが...)

  超音波に関してはまだまだ色々とやってみたい実験がある。実は以前秋月で買った超音波マイク・スピーカセットが家に転がっていたりする。これを使って、次回は超音波オモチャを作成してみたいと思う。

  さて、今日はTVで「バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲」を放映するようだ。バットマンの映画は何故か夜の街が舞台である。
 バットマンと言えば、Bat(コウモリ)+Man(男) = コウモリ男だ。このTVを見たあとの私はきっとバットマンになりきっているだろう。バットディティターを耳に差せば、私だって堂々たるバットマンだ。
 
 というわけで、バットディテクターを耳に差し若葉マークをつけたバットマンは、夜の街へ出撃するのであった。夜のバットマンは眠らないのである(下品なギャグ禁止)。

2000-01-27[n年前へ]

「富士の樹海」を目指せ 

磁界を可視化しよう

 以前から探していた「面白いもの」を入手した。この写真がその「面白いもの」なのであるが、何だかわかるだろうか? ちなみに、大きさは「1cm×5cm」位のシートである。
 

謎の「面白いもの」

 これは「マグネビュアー」というものである。磁界を可視化してくれるシートだ。マイラーフィルムの間に磁性体を混入させたマイクロカプセルを入れることで、磁界に対する配向性を持たせたものだ。と、言葉でいってもなかなかわかりにくいので、磁界を可視化した写真を示してみる。何しろ、百聞は一見に如かずである。
 次の写真は某ピザ店のマグネットシート(よく冷蔵庫の扉に張り付ける奴)の上に「マグネビュアー」をのせたところである。ピザ屋は私の食生活を支えていると言っても良い。私が生きているのはピザ屋のおかげである。
 

某ピザ店のマグネットシートの上に「マグネビュアー」をのせたところ

 私の「命の恩人」でもある某ピザ店のマグネットシートがつくる磁界が見て取れるだろう。磁界が可視化されているのである。

 本WEBではこれまで様々な「可視化」で遊んできた。例えば、

などである。様々な現象を可視化してきた。そこで、今回は磁石がつくる様々な「磁界」を可視化して遊んでみたい。

 上に示した「某ピザ店のマグネットシートの表面」の磁界の様子も面白いが、もっと面白いのは「某ピザ店のマグネットシートの境界」の磁界を可視化したものである。

 それが下の写真である。磁界の様子が実感できるのではないだろうか?
 

「某ピザ店のマグネットシートの境界」の磁界を可視化したもの

 下に示す図はドーナツ型の磁石の周りの磁界をCUPSを用いてシミュレーション計算した結果である。この計算結果と同じようなものが「マグネビュアー」を使うと簡単に可視化できる。
 

ドーナツ型の磁石の周りの磁界をCUPSを用いてシミュレーション計算した結果

 普通、こういった磁界の可視化は磁気造影剤や砂鉄みたいな磁性体粒子を用いるのであるが、そういったものはどうにもハンドリング性にかける。液体や粉体などを家の中で実験に使うのはイヤである。いや、もちろん仕事で使うのもイヤであるが... そこで、この「マグネビュアー」が登場するわけだ。

 それでは、その他の面白そうな磁界を可視化してみたい。磁界と言えば、やはりアレの登場だろう。もちろん、アレと言えば磁気カードである。クレジットカードや銀行のキャッシュカードといった磁気カードだ。一例を次に示してみる。こんなヤツだ。
 

磁気カードの一例

 カードの下に黒い磁気データ記録部があるのがわかるだろう。

 それでは、その「磁気データ記録部」に「マグネビュアー」をのせてみよう。はたして、磁気データは可視化されるだろうか?
 

「磁気データ記録部」に「マグネビュアー」をのせる

 といっても、この写真ではわかりにくいので、「マグネビュアー」を拡大してみよう。すると、バーコードのような模様が見えるのがわかると思う。「磁気データ」が簡単に可視化されているわけである。この「マグネビュアー」と普通のスキャナーがあれば磁気データ読み取り機がなくても磁気データが読みとれるのである。
 

「磁気データ」が簡単に可視化されている

 しかし、このカードに関しては内容を解析するとマズイ事情があるので、次回に「ソフマップ」のカードを題材にして磁気カードの内容を可視化してみるつもりだ。題して、

  • ソフマップでお買い物 - 磁界の可視化とバーコード - (仮称)
である。

 さて、話は変わるが、私はこの「マグネビュアー」を手に「富士の樹海」を目指すつもりだ。「富士の樹海」では」方位磁針が変な方向を示すと伝えられている。そしてまた「富士の麓」ではとかく人は判断を誤りやすいとも聞く。船頭多くして船山に登ると言うが、「富士の樹海」には判断を誤った船が沈没しまくりである。

 私は「富士の樹海」の真実をこの「マグネビュアー」で明らかにするつもりだ。「富士の樹海」の謎を明らかにするのである。何故、方位がそして人が判断を誤るのか、その謎を明らかにするのだ。

 しかし、もしも、もしも、の話であるが、本WEBの更新が止まった際には、「富士の樹海」で私が眠っていると思って欲しい。「マグネビュアー」が役に立たないはずがないのだが、きっと何か判断を間違えたのであろう。そうそう、あくまで「富士の樹海」である。「富士の裾野」ではないので念のため...
 

2000-02-19[n年前へ]

携帯電話の同時性? 

競馬の写真判定とパノラマ写真 その後

 先日

を書いてから面白いメールを頂いた。その一部を抜粋すると、
 小生は超音波を利用した新しい流体場測定を行っていますが、この方法で得られるDataは空間1次元時間1次元の2次元データです。従って得られるのは、このページにあったような画像が直接得られるわけです。

 この方法といくつかの結果を発表してから、あちこちからコンタクトがありましたが、その中の一つが、NYのSirovichという高名な流体力学者からの手紙でした。彼はいわゆるSnapShotを、逆に小生のデータから構築できないか、というのです。

 今このWebでされたことの逆をしたいというわけです。流れの空間構造を解析するために使いたいのです。残念ながらこれは、以下に少々説明するように、原理的に無理な話で断らざるをえませんでした。

 つまり、時間軸に速度をかけて空間軸に変換できればよいのですが、流体場はそれ自身が速度分布を持っていますから、一体何を使えば良いのかが定まらない。

 電磁波の場合には光速が一定ですから、時間情報から空間情報を得ることができますが、古典流体力学では不可能なのです。工学的には平均流速を使って、時間-空間の変換をしますが、それはインチキとまでは言わないまでも、便宜的なも
のでしかありません。

 このWEBの中での例では、馬?の速度のみであとは静止しているので、可能でし
ょう。

とある。

 「馬?」という箇所に、私との意見の相違があるようだ。私が明らかに「馬」であると言い張っているものに疑問を持たれているような気がするのであるが、今回そこは気にしないでおく。

 なるほど、音波や電磁波などを使って計測を行い、得られた

  • 空間(あるいは量)-時間
のグラフから、音波や電磁波の速度を用いて
  • 空間(あるいは量)-空間
のデータを再構成する計測というのは多い。例えば、
  • 海の中の魚を探知する「魚群探知機」
  • 気象状況を計測する「気象レーダー」
  • 固体の中の電荷分布を計測する「電荷分布測定装置」
などもそうである。いずれも、音波や電磁波が計測される時間のズレから、音波や電磁波の速度を用いて、空間位置に変換して解析を行うものである。

「魚群探知機」は超音波を水中に発信して、その反射波が刻々と帰ってくる様子から、(超音波の速度を用いて、空間位置に変換した後に)障害物(ここでは魚群)の様子を計測するものである。「気象レーダー」も電波を使って同様に雲の分布などを測定する。
「電荷分布測定装置」の場合は、(例えば外部電界を印加し)電荷を持つ個所を振動させてやり、その振動がセンサー部に刻々と伝わってくる様子から(あぁ、なんて大雑把な説明なんだ)、(固体中の弾性波の速度を用いて、空間位置に変換した後に)固体の中にどのように電荷分布が存在しているかを計測するものである。

と、文章だけでは何なので、WEB上から、それらの計測器を用いた場合の計測例を示してみる。

 下が魚群探知機である。リンク先は

である。
魚群探知機
リンク先はhttp://www.taiyomusen.co.jp/gyogun.html

 また、この下は空間電荷測定装置である。これなども、とても面白いものだ。リンク先は

である。
空間電荷測定装置の計測結果
リンク先はhttp://www.crl.go.jp/ys/ys221/charge/PEA_3D.html

さて、こういうことを、調べてみるだけではしょうがない。自分でもそういう計測をしてみたい。
そこで、次のような実験をしてみようとした。

  1. 部屋の中に複数の「音の発信源」を配置する。
  2. 複数の「音の発信源」から同時に音を発する。
  3. それをPCで収録する。
  4. 音声が「音の発信源」からPCに到達するまでの時間を解析する
  5. 複数の「音の発信源」の位置を計測する。
 しかし、複数の「音の発信源」で同時に音を発するにはどうしたら良いだろうか?電子ブザーなどを複数制作して、部屋の中に配置しようかとも考えたが、それも少し面倒である。

 そこで、安易にも時報を使おうかと考えてしまった。しかも、数があって手軽ということで、携帯電話を使おうとしたのである。

 しかし、複数の携帯電話を集めて、117に電話して時報を同時に聞いてみると、とても同時どころではない。てんでばらばらなのである。電話のスピーカーから流れてくる時報のタイミングには結構ズレがあるのである。

 携帯電話の間には結構同時性がないのだ。また、固定電話とも比較したが、固定電話よりも時報が速いものもあれば、遅いものもあった。

 そこで、複数の携帯電話を聞き比べた結果を以下に示してみたい。この写真中で左の携帯電話ほど時報が先に流れており、右になるほど時報が遅れているのである。一番早い左と、一番遅い右では一秒弱の違いがあった。

左の携帯電話ほど時報が先に流れており、右になるほど時報が遅れている

 また、参考までに、家の固定電話と携帯電話の時報を一緒に聞いたサウンドファイルを示しておく。

この携帯電話は先に示した画像の一番左である。つまり、先の携帯電話群では一番時報が早かったものなのである。しかし、家の電話よりは一秒弱遅かった。ということは、家の固定電話と先の一番遅い携帯電話では時報の時間にして2秒弱の違いがあることになる。

 そして、「家の固定電話と携帯電話の時報を一緒に聞いた音の変化」をスペクトログラムにしたものを以下に示す。

「家の固定電話と携帯電話の時報を一緒に聞いた音の変化」のスペクトログラム

水平軸が時間軸であり、時間は左から右へ流れている。また、縦軸は音の周波数を示している。ここでは、「1」で示したのが家の固定電話の時報であり、少し遅れて「2」の携帯電話の時報が聞こえているのが見てとれる。

 よく時報を確認することはあるが(実は私はほとんどないのだが...)、携帯電話・PHSで時報を聞く限り、秒の精度はそれほどないようである。また、勤務先の固定電話は先の携帯電話群と比べても遅い方であった。それは少し意外な結果であった。

 今回調べた「携帯電話の同時性のなさは」は常識なのかもしれないが、電話の時報で時計を合わせるのはあまり精度が出ないやり方であることがわかっただけでもよしとしよう(別に実験を途中で投げ出した言い訳ではないけれど)。

 今度、TV(衛星TVなども遅延時間を考慮した時報の放送を行っていると聞くし)やラジオを用いて当初計画していた実験を行おうと思う。その際には、時報がPCに到達する時間のズレで「音の発信源」までの距離を計測し、左右のマイクでの違いを計測することにより、「立体音感シリーズ」のように「音の方向」を得てみたい。

 というわけで、話が「立体音感シリーズ」に繋がったところで、今回は終わりにしようと思う。

2000-03-05[n年前へ]

私の日本語練習帳 

アメンボ赤いなアイウエオ

 もうすぐ、4月である。4月といえば、新学期だ。といっても、私は別に学生ではないので、新学期といっても特に何があるわけではない。別に新しい授業が始まるわけではないのである。しかし、私は何故かこの時期になると「英会話」を勉強したくなるのである。

 去年の初めにも英語学習熱に襲われ、NHKのラジオ講座を通勤途中やることにしてみた。しかし、いつものように二ヶ月だけで挫折してしまった。そういうわけで、NHKラジオ「英会話」講座の毎年4月分のテキストが私の家には沢山ある。
 それだけでなくて、この時期には「一週間でわかる英会話(仮名)」というような本も買い込んでしまう。しかし、これもまた買うだけで終わってしまっていたのだ。どうも、私の興味が散漫であることも理由の一つだろう。湯川秀樹は

 「今日はあれをやり、明日はこれ、というように、あまり気が散ると、結局どれもものにならないですね。」
という非常に的確なことを言っているらしいが、まさにその通りである。話題が飛びまくりの「できるかな?」には実に痛い指摘である。しかし、糸川英夫は
 「自分にできること」よりも「世の中が求めていること」に挑戦し続けた方が人生も楽しい。
言っているらしいし、気にしないでおく(進歩無し)。

 私はそういう生活が10年近く続いている。そんなわけで、英語のテキストは増えたが、英語能力は減る一方だ。いやまてよ、ということは

  • 一人の人が持つNHKラジオ「英会話」講座の4月分テキストの冊数
  • 一人の人が持つ英会話能力
は反比例するのかもしれない。その仮説を適用するならば、
  • 今年のNHKラジオ「英会話」講座の4月分テキストを買わなければ、私の英語能力はアップする
という推論が可能である。逆に言えば、今年もまたNHKラジオ「英会話」講座の4月分テキストを買うと、ますます英語能力が低下してしまう、ということだ。私の英語能力が低下したのは、英語のテキストを買いすぎたせいで、もしかしたら、英語のテキストを全部捨てれば英語能力がアップするかもしれない。

 いや、こんなワケのわからない仮説を論じている場合ではない。これは、非常にマズイ。今年こそ、三日坊主は止めなければならない。新しいミレニアムが訪れたことでもあるし、バージョンアップした私(仮に私2000とでも名付けておこう)になるためにも、今回こそ英会話の勉強をしてみたいと思う。

 そこで、発売されてすぐ買ったは良いが、そのまま本棚で眠っていた

  • BLUE BACKS 英語スピーキング科学的上達法 山田・足立・ATR人間情報通信研究所
で遊んでみることにした。この本は
  • BLUE BACKS 英語リスニング科学的上達法 山田・足立・ATR人間情報通信研究所
の続編である。もちろん、私は両者とも買っただけで「積ん読(つんどく)」であった。いや、ホントは読んだのだけれど…

 それでは、今年の勉強を始めてみることにしたい。この本の主な内容は

  • 英語における発音を科学的に分析(主にフォルマント、スペクトログラム)する。
という感じである。

 これまで、「できるかな?」では

といった感じで音のスペクトログラムはよく登場している。なので、きっと感覚的に判りやすいはずだ(少なくとも理屈としては…)。

 しかし、いきなり私に英語はキツイ。まずは日本語の練習から始めることにした。日本語の母音の発音を練習するのである。そうすれば、自分自身の日本語を再確認できるし、この本の信頼性もチェックできる。「フォルマントで音声を判断する」というのがどの程度使えるものであるかを、私の日本語でチェックすることができるのである。何しろ、変な発音かもしれないが、一応私は日本語のネイティブであるからだ。

 それでは、「英語スピーキング科学的上達法」に付属のソフトで私のフォルマントを調べてみる。これが私の「あいうえお」のスペクトログラムとフォルマントである。
 

私の「あいうえお」のスペクトログラムとフォルマント

縦軸=周波数, 横軸=時間

 ここで、色丸で示してあるのが

  • 赤 = 第1フォルマント ( F1 )
  • 青 = 第2フォルマント ( F2 )
  • 緑 = 第3フォルマント ( F3 )
である。簡単に言えば、周波数のピークを低い方から番号付けしたものである。

 それでは、私の「あいうえお」をF1-F2空間にマッピングしたものを次に示す。これも、「英語スピーキング科学的上達法」に付属のソフトによるモノであり、標準的な男性の「あいうえお」の分布が示されている。そして、赤丸で示してあるのが私の「あいうえお」である。
 そして、F1-F2空間における英語の母音分布の上に私の「あいうえお」を重ねたものも示す。
 

F1-F2空間における私の「あいうえお」
横軸 = F1(Hz)、縦軸 = F2(Hz)





私の「あいうえお」を
英語の母音に重ねてみた図

 こうフォルマント分析をしてみると、私の「い」「う」「え」は標準的な分布の中に入っていることがわかる。しかし、「あ」「お」はそうではない。
むしろ、私は発音は英語の母音でいうところの

  • 「あ」 = 
  • 「お」 = 
という感じである。まぁ、
  • 私の発音の精度の問題 = 私の発音がヘン?
  • 測定・解析の精度の問題
かはさておき、精度はこんなものなのだろう。結構、ちゃんと判断できるものだなぁ、というのがこの解析に対して私の受けた印象である。こういう音声解析というのも実に面白そうな分野である。

 さて、最初のうちはこの本付属のソフトを使って遊んでいくことになると思う。しかし、いつか自作のソフトウェアを作成し、F1-F2-F3空間での「あいうえお」の可視化でもしてみたい。言葉の可視化、さらには言霊の可視化をしていく予定である。(あれっ、そう言えば英会話の勉強はどこへ…)
 

今日はあれをやり、明日はこれ、というように、あまり気が散ると、結局どれもものにならないですね。
By 湯川秀樹

2000-04-22[n年前へ]

怪しいレーダー・マン 

コウモリの発する音を聴け

 最近、帰りが遅い日が続いていた。しかし、今日は7時過ぎには家へ帰ってきた。4月も中程になると、この時間でも薄暗いほどに、日が長くなってきた。さて、駐車場で車を止めて空を眺めていると、蝶々のようなものがさかんに近所を飛び回っている。あれ、もう蝶々が飛び回る季節だったかな、それにこんな時間に蝶々って飛び回るのかな、それともこいつらは蛾かな、などとボンヤリ考えながら眺めていた。すると、それは蝶々でも蛾でもなく、コウモリだと教えられた。

 それを聞いた瞬間、当然私は家の中に駆け込み、そして秘密道具を手にして戻ってきた。もちろん、その秘密道具とはこれである。

の時に手に入れた超音波の音波を可聴域に変換する「バットディテクター」である。
 
釜利谷東ミックスシーズ バットディテクター

 こいつを使えば、コウモリが発する超音波を自分の耳で聞くことができる。イヤホンを耳に差し、コウモリに超音波マイクを向けると、聞こえる聞こえる。コウモリの発する超音波が聞こえる。「コッコッコッコッ…」というような音が聞こえるのである。

 「コッコッコッコッ…」という音がどんどん大きくなってくるとき、すなわちコウモリが近づいてくる時は恐怖すら感じる。外が暗くてよく見えないために、なおさら怖いのである。目の前にいきなりコウモリが突然現れたらどうしようかと思うと、トイレへ走り込みたくなる。

 さて、録音してみたコウモリの声をここにおいておく。とりあえずは、WAVファイルとMP3ファイルである。

 この声を可視化してみたものが次の画面である。音声波形とスペクトログラムである。パルス上の「コッコッコッコッ…」という音が連続的に繰り返されているのがわかる。
 
コウモリの発する音を可視化したもの

 さて、コウモリの発する音を録音している内に真っ暗になってしまった。しかし、一応コウモリの写真も撮影しておきたい。

 普通であれば、真っ暗な中で被写体(コウモリ)がどこにいるかわからないのであるから、撮影は結構難しいだろう。しかし、私には「バットディテクター」がある。耳にイヤホンを差し、超音波マイクを空に向ければ、例え真っ暗でもコウモリがどこを飛んでいるかはわかるのだ。超音波によるレーダーが私の味方なのである。カッコイイ言い方をすれば、私は超能力を持つレーダー・マンなのである(あまり格好良くない気もするが…)。

 そういうわけで、「バットディテクター」を頼りに「真っ暗な中を飛び回るコウモリ」をデジカメで撮影してみた。残念ながらピントがなかなか合わないのが難点であるが、とりあえず撮影してみた。それが、次の写真である。
 

真っ暗な中を飛び回るコウモリ

 この写真を撮るために、私は真っ暗な中でデジカメのシャッターを押しまくった。当然、真っ暗闇の中でフラッシュだけが光り続けたわけである。考えてみれば、怪しさバツグンである。耳にイヤホンをつけて、変な器具(実は「バットディテクター」)を空に向けて、延々とフラッシュを光らせまくるヤツ、それが私である。これを見た誰かが警察に通報するのではないかと、と真剣に心配になった程である。いや、もちろんパトカーがもし来たとしても、その音も素早くキャッチできるハズである。しかし、自宅の前では逃げようがない。

 作業が終了した今は、ただ、近所で悪い評判がたたないことをただ祈るのみである。
 



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