2007-06-03[n年前へ]
■カメラ付き携帯電話から画像加工サービスを使う
バージョンアップを行いました。
携帯電話から下記アドレスに写真を添付したメールを送ることで、画像加工ジェネレータ"Imagenerator"(説明など)の機能を携帯電話から利用できるようにするテストを開始しました。下記のアドレスに画像を添付したメールを送ると、10秒ほど後に、処理画像のURLがメールで返信されます。その画像を眺めてみたり、あるいは、携帯電話のデータフォルダに保存したり...といったように遊ぶことができます。送信先アドレスは、つまるところ、imagenerator.mobile+処理名@gmail.comです。今のところは、処理サービス名に日本語が入っているものは動かない状態のまま運用しています。
- イラスト写真: imagenerator.mobile+ComicPolaroid@gmail.com
- ミニチュア写真:imagenerator.mobile+mini0@gmail.com
- 美人加工写真:imagenerator.mobile+bijinphoto@gmail.com
- 超美人処理:imagenerator.mobile+cbijin@gmail.com
携帯電話のカメラを使って撮影した写真を、マンガ風・雑誌の表紙風・ミニチュア写真風…と、自由自在に画像を作り出すことができるようにしたい、と思っています。Imagenerator で気軽に画像で遊ぶうちに、画像加工サイトができあがり、ついでに、携帯電話からもその画像加工サイトの機能を使うことができる、という具合です。たとえば、右の写真は携帯電話で撮影した写真を「ミニチュア写真」「イラスト写真」にメールを送り、処理されてきた画像です。携帯電話のカメラ機能を通して見ると、目の前の世界がミニチュア世界やイラストレーション世界に変化していくことでしょう。携帯電話の料金体系が定額料金でないと、ちょっと使い辛いかもしれませんが‥。それでも、携帯電話のカメラを通して、不思議な世界の姿を眺めることができるかもしれません。
なお、現在はau携帯電話、および、(携帯電話ではありませんが)gmailからの送信でテストを行っています。
2007-07-06[n年前へ]
■「物語」と「市場経済」
現代は大衆民主主義と資本主義と科学技術の時代である。人々は原則平等という権利と引き替えに、細かい差異化過程に巻き込まれ序列化されることを余儀なくされる。「科学とオカルト(池田清彦 講談社学術文庫)」は科学という積み木と隣り合うオカルトという積み木の姿を描く。そして、それと同時にこの本が描くのは、科学だけでなく資本主義と大衆民主主義という積み木とも隣接するオカルトの姿でもある。
「科学とオカルト 」P.7 はじめに
本屋に置いてある雑誌や駅に置いてあるフリーペーパーを眺めてみれば、たくさんのファッション・スタイルや数限りないグルメスポットが掲載されている。そんなたくさんの選択肢から自分なりのものを選んで自分に振りかけてみても、他人と自分の違いは、スターバックスで注文するコーヒーかホットドッグのトッピング程度の違いしかないことだって多い。
宗教という大きな公共性も身分制という規範も存在しない現代では、自分が何者なのかということを教えてくれるものは何もない。唯一、最大の公共性であり科学は、そういう問いには原理的に答えることができない。元サッカー日本代表の中田英寿は「自分探しの旅」へと出かけてしまい、須藤元気は格闘技のリングから「スピリチュアルな世界」へと舞台を変えた。「僕って何」という問いかけをする「一見さんに対し」、ほとんど全てのものが明確な答えを与えることはしないように、科学が一見さんが抱えるその問いに答えることはない。
「科学とオカルト 」P.148 現代オカルトは科学の鏡である
お客様は神様です。 三波春夫「お客様は神様です」という言葉とともに、スーパーにはたくさんのものが並び、私たちは自分が持っているお金の範囲で自由に商品を選ぶことができる。現代社会は、お金を持っている限り有効の神様チケットを持った人で満ちあふれている。それと同時に、そんな神様たちは「選択」という価格の付けられたチケットを持ってはいるけれども、選択に迷いがちで自分を見つけられない存在でもある。
幸か不幸か、社会はこの現実社会にはないものを物語という形で流布する。「かけがえのない私」というのも、こういった物語の一つである。消費者が望むものを誰かが生産する。需要のあるところには、必ず供給が生まれる。科学が生産できないものを現代の消費者が望むなら、そこには、必ず別の供給者が現れる。それが自由市場主義で動く現代社会なのだろう。消費者という神様は欲しいものに応じ、時には科学を選び、時にオカルトを選ぶのである。お客様という神様たちと、そんな神様たちの欲望に応える供給者が作り出していくのが、21世紀の世界なのだろうか。
「科学とオカルト 」P.149 現代オカルトは科学の鏡である
(「科学とオカルト」を書いた)池田の著書は、自分で考えるとはどういうことか、結局はそれを教えてくれる本なのである。
養老孟司
2007-09-11[n年前へ]
■新陳代謝と海面を歩く
「ソースティン・ヴェブレンというアメリカの経済学者」を知ったのは、つい最近だ。ヘアカタログを題材にしたプログラムを書くために、グラント・マクラッケンが書いた「ヘア・カルチャー(もうひとつの女性文化論)」を読んでいるときに、そのソースティン・ヴェブレンという名前に出会った。
ブログと呼ばれる個人サイトでも、昔見たネタが少しの時間をおいて流行ることが多いように見えます。古くから眺めている人にとって見れば、飽き飽きしたネタが繰り返し流行ることがよくあります。この本の原題は、"Big Hair (A jouney into the transformation of self)"だ。
夕暮れ近くの海を自転車で巡る。潮が満ちてきて、防波堤が海に沈む。防波堤の上を歩いていく人がいる。防波堤はずっと波に洗われているから、その人はまるで波の上を歩いているように見える。その原題にも入っている"Big Hair"に関する章の中に、"代理消費"ヴェブレンがいた。黒柳徹子や横浜銀蠅や、ツッパリ・ハイスクール・ロックンロールたちの源流が解説される中で、ヴェブレンの姿を見かけた。
今まさに誰かが傷んでいるまだ飛べない雛たちみたいに僕はこの非力を嘆いているどんなミステリーも、どんな構造物も、すべては螺旋階段のようだ、とある時に聞いた。何度も同じような景色を、けれど少しづつ違うところから眺めていくものだ、と聞いた。
一年の周期で、技術雑誌が同じような特集記事を繰り返す。どの雑誌でも5月号は必ず「新人フレッシャーズのための」という特集を組み、それから少し時を経た2月号辺では、画像関係の特集を組む。「学研の科学と学習」が、毎年同じような特集を繰り返すのと同じだ。それは、ウンベルト・エーコが書いたバラの名前を輪講で読んでいる時だったか、レイモンド・カーバーを読んでいるときだったか、そんな教室で聞いた言葉だった気がする。
不思議だけれど、「海面を歩くこと」が当たり前のように見える場所もある。グルグル回る螺旋階段のように、技術雑誌は一年周期で、必ず同じような特集記事を繰り返す。それは、絵に描いたような「何度も同じような景色を、少しづつ違うところから眺める」というビューティフル・ドリーマーな景色だ。
「会社にはメカ・ソフト・電気の三人がいれば十分です」三人編成のバンドっていいな、と良く思う。見た目のバランスもいいし、音もなかなか飽きない。
雑誌の読者層は入れ替わっていきますから、毎年同じ特集を繰り返しても、「読者にはいつも新鮮な記事」になります。そう思わない古い読者は、いずれ読者ではなくなるのです。色んな人たちがいる。朝顔の蔓のように、DNAが形作る螺旋階段を時をおいて昇る色んな人がいる。
バーベキューをしている人もいるし、パラグライダーで空に浮いている人もいる。走っている人もいて、スケートで滑っている人もいる。 そして、海辺でゴルフをしている人もいる。海の水面を歩く人もいるし、月面を歩く人もいる。仕事が終わらなくて唸っている人もいる。
しかし、それを技術雑誌の特集記事のように新陳代謝に対応するためだと考えてみれば、少し面白いような気がします。
そう思わない古い読者は、いずれ読者ではなくなるのです。
2008-08-09[n年前へ]
■KISSで「グレート・ギャツビー」を見る
…という具合で、色々な女性雑誌を、「これはどういう人が読むのだろうか」と想像しながら、あるいは、考えながら読んでいる。男性向け雑誌であれば、そんなことはわざわざ考えなくてもネイティブにわかる。けれど、女性向けの雑誌になると、これが全然わからない。
今日読んだのは、 Kiss 2008 8/15 だ。25~30代くらいの女性が読むマンガ雑誌なのだろうか。読めば、色々面白いもので、「本屋の森のあかり」のラストシーンに、フィッツジェラルドの「グレート・ギャツビー」の終わりの言葉が書かれ、その言葉と重なるように絵が描かれていた。
So we beat on, boats against the current, borne back ceaselessly into the past.
Fitzgerald "The Great Gatsby"
だからこそ我々は、前へ前へと進み続けるのだ。流れに立ち向かうボートのように、絶え間なく過去へと押し戻されながらも。
村上春樹訳 「グレート・ギャツビー」
ふと、その「グレート・ギャツビー」に引っ掛かりながらKissのページを読み進めているうちに、KISSの中に描かれている世界が不思議に「グレート・ギャツビー」と重なって見えてくる。今の日本の25~30代くらいの女性が眺める世界は、ギャツビーが見る世界と、もしかしたら、重なっているのだろうか。
"Whenever you feel like criticising anyone, just remember that all the people in this world haven't had the advantages you've had."
Fitzgerald "The Great Gatsby"
2008-08-24[n年前へ]
■雑誌のポジショニングマップ
最近、雑誌のポジショニングマップに関する話を多くしました。そんなこんなで、Ruby on Rails の復習も兼ねて、「雑誌のポジショニングマップ」のWEBアプリケーションを作ってみたのです。夕方、スケルトンができたので、mongrelサーバをhirax.net上で数個投げてみました。
サーバを起動した後に、"about"画面用に走り書きをしました。
雑誌は、私たちのライフスタイル・ファッションスタイルといったものを写し出す媒体です。毎号、同じ雑誌を必ず買って読む人がいる一方で、内容に応じて「つまみ食い」のように雑誌を買う人もいます。
「どんな雑誌のどの号にどんな情報が載っているのかを、表・グラフ・ポジショニングマップ・身の回りの地図…さまざまな視点から眺めることができる」のがこのサービスです。 私たち自身のライフ・ファッションスタイルといったものを、小さな画面を通して眺めることができる、…つまり、小さな私たち自身の姿を透かし見ることができるようにしたい、というのがこのWEBアプリケーションです。
私たち自身が変化しつづけるように、ファッションすなわち流行も変化し続けています。私たち自身が生きているように、ファッションやライフスタイルも生きているのです。…と、そんな思いつきから作られたのが、このサービス「ファッションL!ves」です。
αテストを数日した後、適当に一般公開することができれば、少し楽しんで頂けたら良いなと思っています。