hirax.net::Keywords::「異文化間コミュニケーション」のブログ



2008-11-29[n年前へ]

「平等の錯覚」文化と「不平等の錯覚」文化 

 以前、異文化間コミュニケーションの話を聞いた。それは、少し想像していたような内容だけでなく、意外に感じること・意外な度合いに感じることもとてもたくさん詰まっていて、とても新鮮に話を聞くことができた。

 新鮮に感じたトピックの一つが、"Illusion of Equality"「平等の錯覚」というものだった。「現実には平等でなく・個人間の差異が多いがために、コミュニケーション上で、ファーストネームで呼び合うなどで、まるで平等が存在するような錯覚を持たせる文化」と「現実には皆が似たり寄ったりの中で、相手の立場を相対的に高くするために、自分を低く見せる文化」という、大きく分ければ2つの文化があって、前者は「平等の錯覚」文化で、後者は「不平等の錯覚」文化である、というものだった。

「平等の錯覚」文化からすれば、「不平等の錯覚」文化が見せる謙遜は「見せかけの不実」に見えてしまうこともある。また、「不平等の錯覚」文化からすれば、「対等・同じ」という位置に居心地の悪さを感じ、ほんの少しの差異に違いを見い出そうとする・・・といった内容が、実に面白かった。

2009-04-22[n年前へ]

コミュニケーションにおける「高コンテキスト文化」と「低コンテキスト文化」 

 「異文化コミュニケーション」という研修を受けたことがある。その時、自分自身がどのような考え方をし・どのように判断・行動するタイプであるか、また、自分の周囲は平均的にどのような集団か、日本は他諸国は…というようなことを診断シートから判断してみたり、参加型の実習を通して学んだりした。

 いくつもの面白く、かつ、納得させられることを教えられたが、コミュニケーションで「言葉自体が占める割合・重要性」「コンテクスト(背景・文脈など)に依存する割合」を考えた、「低コンテクスト文化」と「高コンテクスト文化」という2つの文化の違いについても、実に興味深いことのひとつだった。(エドワード・T. ホール著「文化を超えて 」や「沈黙のことば 」参照のこと)

 もちろん、実際にはそのふたつの文化に2極化するわけでなく、その2つの文化の中間的な場所のどこかに自分、あるいは他者はいるわけである。ちなみに、「高コンテキスト文化」から「低コンテキスト文化」まで、高コンテキスト順に(つまり、高コンテキスト→低コンテキストという順番で)各国を並べると、以下のようになる。

  1. 日本
  2. 韓国
  3. サウジアラビア
  4. 中国
  5. インドネシア
  6. タイ
  7. フランス
  8. イタリア
  9. イギリス
  10. チェコ
  11. アメリカ
  12. オランダ
  13. ドイツ
  14. スイス

 比較として、「言葉」を重要視するのが、低コンテキスト文化であるから、低コンテキスト文化では”説明責任”が重視される。すなわち、コミュニケーションでは「話し手(書き手)/聞き手(読み手)」のうち、話し手(書き手)の責任が大きい。その逆に、状況(文脈)の中で「コミュニケーション・理解」が行われる高コンテキスト文化では、聞き手(読み手)が責任を負う。この違いは、とても大きく、とても重要だ。

 たとえば日本のような高コンテキスト文化では、聞き手(読み手)は話し手(書き手)の言わんとするメッセージを(言葉・表現に曖昧さが多くとも)解釈しなければならない。逆に、低コンテキスト文化では、誰もが理解できるようにメッセージを話し手(書き手)が明確なメッセージ・言葉を話し(書き)、伝える必要がある。

 自分は、コミュニケーションにおける「高コンテキスト文化」と「低コンテキスト文化」で、どこに属しているか考えてみると面白いと思う。中には、自分が話し手(書き手)の場合には「高コンテキスト文化」=相手に内容を読み取る責任があると考え、自分が聞き手(読み手)の場合には「低コンテキスト文化」=相手に逐一説明する責任がある、という、トンデモ的コンテキスト文化に属していたりするかもしれない。

2009-04-23[n年前へ]

「高コンテキスト文化」と「低コンテキスト文化」の違い「箇条書き」 

 「高コンテキスト文化」と「低コンテキスト文化」が持つ典型的な特徴を並べたリストがなかなかに面白い。「高コンテキスト文化」と「低コンテキスト文化」の違い・特徴をリスト化したものは、派生したものがたくさん生まれている。たとえば、下に画像として貼り付けた箇条書きと、下に文章で箇条書きにしたものは、やはり少し違っている。

Low Context Communication

  1. Absolute values
  2. Need for precision in language - words carry explict meaning
  3. Responsibility based on contract
  4. Agreements written don and records kept
  5. Well-timed interruptions that move the conversation forward accepted
  6. Decision-making ideally logical
  7. Uncomfortable with silence(indicates a breakdown of communication)

High Context Communication

  1. Relative values
  2. Tolerance of verbal ambiguity(non-verbal and coded communication)
  3. Responsibility based on general agreement
  4. Written agreements flexible according to circumstances
  5. Interruptions considered rude, particularly when made by a junior
  6. Decision-making allowing for feelings
  7. Not uncomfortable with silence(can be communicative)
(エドワード・T. ホール著「文化を超えて 」や「沈黙のことば 」参照)

 こんな箇条書きを眺め、「(二つの文化の違いを整理した)各項目のどちらに対応するか」を確認することで、自分自身や自分の周囲の人、あるいは「集団」が、「高コンテキスト文化」と「低コンテキスト文化」のどちらのタイプに属するか、あるいはどちらの傾向が強いか、を比較・自覚してみると面白いと思う。そうすることで、コミュニケーションの中で起こる問題が「あぁ、なるほど。これは必然的に起こることなんだな」と理解できたり、その対策をとることができたりもするかもしれない。

Low and High Context Communication








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