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2010-02-10[n年前へ]

「爆乳ハリケーン」 (初出:2005年08月27日) 

 一昨日から昨日の早朝にかけて、台風11号(アジア名 MAWAR)が東日本沿岸をかすめていきました。私が住んでいる伊豆半島の付け根辺りでも、風速30m/s近い暴風が吹き荒れました。

 気象庁の風速に関する用語のページを眺めてみると、

  • 風速10m/s以上15m/s未満 = やや強い風
  • 風速15m/s以上20m/s未満 = 強い風
  • 風速20m/s以上30m/s未満 = 非常に強い風(暴風)
  • 風速30m/s以上(or 最大瞬間50m/s)= 猛烈な風
といったように定義されています。しかし、「強い風」とか「猛烈な風」ではどうも実感できません。具体的なイメージが湧きません。

 以前、私は「風を掌に受けたときに掌が受ける力を計算して、それを女性のバストでいうと、何カップ相当になるかテキトーな計算をしたこと」があります。つまり、風を掌に受けたとき、どんなバストを触っている感触と同じかを計算したことがあります。その計算結果が右のグラフです。

 横軸が風速、縦軸が掌が受ける重さで、その感触をバストの(カップ)で表現した場合の「カップ相当値」がグラフ中に記載されています。このグラフを使えば、「風速」を「カップ」で表現することができます。

 たとえば、風速14m/sでBカップ相当の平和的な「微乳台風」。風速28m/sならEカップ相当の「巨乳ハリケーン」。そして、風速42m/sともなると、Hカップの超弩級(ちょうどきゅう)台風ということになります。まさに「爆乳ハリケーン」です。今回の台風の場合、私が住んでいる辺りでは「Eカップ級 超ド級巨乳ハリケーン」が通り過ぎていった、ということになります。ほら、何だかとても(その凄さを)実感できるような気がしてきませんか・・・?

2012-07-19[n年前へ]

「打ち水で京町屋を通り抜ける風の速さ」を計算しよう! 

 「真夏始めました」と天気の神さまが宣言したかのように、急に暑くなりました。蒸して暑い空気が体に重くまとわりつきます。

 京町家では「庭に打ち水をすることで、(水を撒いた)庭から(居住空間を通り)反対側への風の流れを作り、涼を得た」と言います(「京町家模型で確かめる打ち水の科学」)

 庭に打ち水をすることで、京町家の中には 、一体「どのくらいの風」が吹き抜けるのでしょうか? …そんな疑問、そんなハテナマークが頭に浮かんだので、ごく単純に京町家の坪庭(家の奥にある庭)に水を撒いたとき煙突効果が生じるものとして、京町屋の中を通り抜ける風量を計算してみました。

 まず、坪庭は高い壁に覆われています。その壁の高さは4mとしましょう。そして、水を撒くことで、(高さ4mの)坪庭内の気温が2度(外気より)下がったものとします。少しひんやりした坪庭は、坪庭最下部横から(居住空間を介して)暑い外へと空気が通り抜けることができるとします。すると、坪庭内と外部との圧力差で生じる風速はおよそ0.5m/s強、となります。

 秒速0.5mの風を「風力階級」で表現すると、「至軽風(しけいふう)"Light air"」です。たかだか秒速0.5mですが、"Light air"と聞くと、少し心地良く・気持ち良く流れていく空気が、蒸した暑く重い空気をどこか遠くへと運び去って行くように感じられるのではないでしょうか。

打ち水で「京町屋を通り抜ける風の速さ」を計算しよう!






2013-01-07[n年前へ]

「吹雪中の視界距離の公式」で知る「雪を舞わせる風の怖さ」 

 「吹雪中の視界距離の公式」で知る「雪を舞わせる風の怖さ」を書きました。

 上式でとても興味深いのは、視界(視程)が「1立方メートルあたりに存在する雪の重量(飛雪空間密度)」と同じくらい「雪の速度」に影響を受ける、ということです。つまり、たとえば風速(雪を動かす風)が2倍増すと、あたかも目の前を舞う雪の量が2倍増えたのと同じ影響がある、ということになります。

 ここで使った式(関係)は、光学的・視覚的な機構を考えてみると、少し興味深いものに思われます。…といったことは、また明日にでも書いてみることにします。

「(吹雪中の)視界距離の式」でわかる「雪を舞わせる風の怖さ」「(吹雪中の)視界距離の式」でわかる「雪を舞わせる風の怖さ」






2013-01-08[n年前へ]

続 「吹雪中の視界距離の公式」で知る「雪を舞わせる風の怖さ」 

 「吹雪中の視界距離の公式」で知る「雪を舞わせる風の怖さ」で使った「吹雪中の視界を示す式」は、このようなものでした。
 視程(m)=10^(-0.886 Log[飛雪空間密度(g/m^3) 速度(m/s)] + 2.648)
この式は、視界(視程)が「1立方メートルあたりに存在する雪の重量(飛雪空間密度)」と同じくらい「雪の速度」に影響を受ける、というものです。 つまり、たとえば風速(雪を動かす風)が2倍増すと、目の前を舞う雪の量が2倍増えたのと同じ程度の影響がある、という式です。

 この式は、単純に解釈しようとすると、少し不思議に感じられる式です。なぜかというと、ごく単純に考えると、風速(雪粒子の相対速度)が増しても視界の程度は変わらないように思えてしまうからです。

 たとえば、冬景色に対して、ほぼ無風下でほんの少しの雪が降っていたとします(下左写真)。雪粒子の量が10倍に増えた場合の視界を、光の演算や視覚がすべて線形な重ね合わせができるという条件下でシミュレーション計算してみると、下右写真のようになります。確かに視界が悪くなっています。

 

 しかし、同じように今度は、雪の量を10倍に増やすのではなく雪の速度を10倍に増やし、(さきほどと同じように)光の演算や視覚がすべて線形な重ね合わせができるという条件下でシミュレーション計算してみると、基準視界(下左写真)は下右写真のようになります。…おや、視界が悪くなるどころか、むしろ「わりと綺麗に景色が見えている」ような結果になっています。

 

 すべての演算に線形性が成り立つとすると(また、風景中に反射率が低いものしかないという条件でない限りは)、「雪粒子の速度が増しても、視界が悪くなるわけではない」という結果になってしまいます。なぜかというと、雪の動きが早くなると、刻々の瞬間に各々の方向に対して雪が景色の「見え」を遮る・白く見せる効果が平均化・均一化され、結果として「視界全面に対して”雪が存在する比率でコントラストを低下させる”」という効果しか生じないからです。

 しかし、それは「現実の吹雪中の視界の程度」を反映していない(冒頭の式とは挙動が違う)ということは、「すべての演算(光演算や視覚)がすべて線形な重ね合わせができる」という前提は「合ってない・間違ってる」のだろう…ということになるわけです。

 風速(雪を動かす風)が2倍増すと、目の前を舞う雪の量が2倍増えたのと同じ程度の影響があるというこの式は、意外に面白い式です。冬の夜長のこの時期、こんなパズルを解いてみるのはいかがでしょうか。

続 「吹雪中の視界距離の公式」で知る「雪を舞わせる風の怖さ」続 「吹雪中の視界距離の公式」で知る「雪を舞わせる風の怖さ」続 「吹雪中の視界距離の公式」で知る「雪を舞わせる風の怖さ」






2013-01-28[n年前へ]

「春近くの強風による大火事」と「歴史の流れの覚え方」 

 これからの数ヶ月、それは火事が多くなる季節です。火事は、冬に多く・夏に少なくなります。風が強く、湿度も低くなるこの時期には、火事が増えます。右のグラフは「月別の火事発生件数」ですが、「月別の強風度日数」も、このグラフとほぼ同じ形状になります。

 現代と同じように江戸時代も…いえ現代にも増して江戸時代は、冬になると火事が起こりやすく・大火が多く発生しました。春が訪れるこの時期は、大火事が訪れやすい季節でもありました。

 江戸時代が終わる頃、幕府に江戸城明け渡しなどを迫る西郷隆盛らは、江戸への放火を計画しながら、幕府と交渉していました。西郷隆盛と勝海舟が会談をしていたのは3月13と14日。春に向かい風が強くなる時期のことです。

 「官軍」の江戸への放火作戦が、冬の終わりから春にかけての「(大火事を生み出す)強風」を踏まえたものであったかは不明です。しかし、歴史の流れを(納得しつつ)覚えようとする時には、こんな「春近くの強風により大火事が増えること」を覚えておくのも、良い方法かもしれません。

 「火の用心!」という言葉が繰り返されるこの時期に、江戸に火を放とうと「官軍」迫りくる(…それは江戸幕府からすればイヤだよな)と覚えるというのは、いかがでしょうか。



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