hirax.net::Keywords::「飛行機」のブログ



2000-08-14[n年前へ]

風化しないように 

TVで音声テープが繰り返し放送されていたために、色々なところでこれに関するコメントを読んだ。古いNEWSをじっくり流すのは大切だと思う。風化しないように、日記関連リンク集で見かけたところをメモしておこう。Naviさんのところから少しは辿ってみるべきか。(リンク)(リンク)(リンク)(リンク

2000-10-29[n年前へ]

「しょんべん小僧」の物理学 

あともう一歩、前に出ろ

 以前、
  • スクール水着の秘密 - 腹の部分のデカイ穴 流体力学入門編2 - (2000.08.24)
の時に、「男と女の人の間には知らないことがいっぱいあって、そこには深くて暗?い河が流れているんだなぁ。」とビックリしたものだった。あの時は、「女性は知っているけれど、男性はちっとも知らなかった世界」のことだったけれど、もちろんその逆もある。「男性にはよくある風景だけれど、女性にとっては未知のミステリアスゾーン」というものだっていくらでもある。今回は、そんな「男性にはよくある風景だけれど、女性にとっては未知のミステリアスゾーン」の謎を考えてみることにしたい。

 「男性にはよくある風景だけれど、女性にとっては未知のミステリアスゾーン」といってもたくさんあると思うが「男子トイレ」というものだって、女性にとっては未知のミステリアスゾーンだろう。

 次の絵はよくある男子トイレの一風景だ。便器前のポジションに立つとどうしても目に入る位置にこんな内容を書いたチラシが張ってあることが多い。

「ちょっと待て、あともう一歩前に出ろ。」

「ちょっと待て、あともう一歩前に出ろ。」

 もし、その張り紙がなかった場合にはどうなるだろうか?その場合には、下の絵のような事故が発生してしまうのである。実際のところ、ほとんどの公衆便所で見かける風景だ。
 

もし、その張り紙がなかった場合には…

 そう、便器にロックオンして放水をしたハズなのに、何故かターゲットである便器まで「小便」が届かずに便器下を汚してしまうのである。実にマズイ事態ではあるがよく見かける風景でもある。便器内を狙ったハズの小便が残念ながら目標地点まで辿り着かなかった場合に起きる悲劇である。

 もちろん、どんなに飛距離が小さくても、すなわち小便が放水銃の先から真下に垂れてしまった場合でも、便器の顎の上から放水作業を行っていれば何の問題もないわけだ。しかし、世の中の男性達は何故か遠くから狙いたがるのである。先程の、「ちょっと待て、あともう一歩前に出ろ。」という張り紙ではないが、もう一歩前に出て便器の顎の上から放水作業を行いさえすれば良いのではあるが、何故か漢(ここではあえて、漢と書いてオトコと読むことにしよう)達はそれができないのである。

 さて、この現象には別に公衆便所でなくても発生するわけで、どこのトイレでも便器の下を汚してしまうことになる。そのため、家庭によっては妻から

小便するときは座ってやりなさい
と命令されている男性も多いらしい。想像するだけで涙が出てくるような哀しい現実である。

 はるか古の昔から「男らしさ」のひとつが「立ち小便」でなかったか?、そして「立ち小便」は「男らしさ」の最後の砦ではないのか?という気も私は少しだけしたりするのだが、便器周りを汚しまくる現実の前ではそんな「男らしさ」は2000円札よりも価値がないのである。2000円札ならば喜んで受け取ってくれる人もいるだろうが、便器の下に落ちようとする「小便」は誰も受け取ってくれない。いや、実際のところ小便を喜んで受け取ってくれる人もいるのかもしれないが、少なくともそんな人の数は2000円札を喜んで受け取る人の数よりはきっと少ないだろうと思うのである。

 そしてさらに、「男らしさ」が「立ち小便」なら、そんなものイラナイと言われてしまいそうな気もするし、「立ち小便」が「男らしさ」の最後の砦か!?と言われてしまいそうな気も強くするので、ここらへんについての社会学的な考察は追求しないでおこう。

 それでも、私は世の中の虐げられている「しょんべん小僧」達のため、そして「男らしさ」の最後の砦を守るために、男子トイレの「しょんべん小僧」達がどうしたら、放水ミスをしないかを物理的に考えてみることにしたい、と思うのである。
 

 さて、便器まで小便が届かないという「放水ミス」はどのようにすれば防ぐことができるだろうか?小便の飛距離を小さくしないためにはどのようにしたら良いだろうか?そのためには、まず小便の飛距離がどのようにして決まるのかを考えなければならないだろう。

 下のちょっとリアルな「しょんべん小僧」の放水作業ではないが、小便の軌跡はきれいな放物線を描く。
 

ちょっとリアルな「しょんべん小僧」

 すなわち、空気抵抗などは無視した場合のピストルの弾と同じく

  1. 銃筒の先端を出るときの初速度
  2. 銃筒の角度
の二つが定まれば、小便の運命は決まってしまうのである。例えば、
銃筒の先端を出るときの初速度 = V0
銃筒の角度 =θ
と表すと、小便の飛距離は
a V0^2 Sin[2θ] (aは定数)
と表される。この式を見ればθ = 1/2 rad.の時にSin[2θ]が1になるので一目瞭然であるし、また感覚的にも自然であるが、銃筒の角度の方は上向き45度の角度に向けるときに小便の飛距離は最大になる。一方、初速度V0の方は速ければ速いほど、小便の飛距離は伸びる。

 それを示したのが、次の図である。「小便の銃筒の先端を出るときの初速度と銃筒の角度を変えた時の小便の飛距離」を示したものだ。
 

小便の銃筒の先端を出るときの初速度と銃筒の角度を変えた時の
小便の飛距離

 すると、便器まで小便が届かないという「放水ミス」すなわち、小便の飛距離を小さくしないためには、銃筒の角度を大きくしすぎたり、小さくしすぎたりしないという知見が得られるわけであるが、そんなことは当たり前だ。誰もトイレで銃筒を真上に向けたり、真下に向けたりはしないのである。先のちょっとリアルな「しょんべん小僧」ではないが、手で放水銃を支持している限り何の問題も無いのである。

 つまり、便器まで小便が届かないという「放水ミス」はほとんどの場合「放水銃の角度」のせいではないのである。つまり、「銃筒の先端を出るときの初速度」が問題だったと考えるのが自然である。

 それでは、「銃筒の先端を出るときの初速度」はどのようにして決まっているのだろうか?それを大雑把に考えてみたのが次の図である。腹筋で膀胱に圧力Pをかけて、銃筒の先端から小便を初速度V0で放水作業を行うのである。
 

腹筋で膀胱に圧力Pをかけて、
銃筒の先端から小便を初速度V0で放水作業を行う

 ところで、上の絵でポンプとして表した膀胱に圧力Pをかけた場合には、膀胱からb P (bは比例定数)と表せる量の小便が銃筒に送り込まれるものとしよう。その場合、その量の小便が銃筒の先端から単位時間に出るわけであるから、銃筒の先端の口径をAとすれば、

V0 = b P /A
と表すことができる。すなわち、「銃筒の先端を出るときの初速度V0」は腹筋で膀胱を締め付ける圧力Pに比例し、銃筒の先端の口径Aに反比例するのである。

 さて、いくら腹筋が強い人であっても腹筋をいきなり締め付けることはできない。つまり、腹筋で膀胱を締め付ける圧力Pというものは徐々に大きくなるのである。

 すると一見、「銃筒の先端を出るときの初速度V0」も0から徐々に大きくなる、すなわち、放水作業を開始した最初の瞬間は「銃筒の先端を出るときの初速度V0」= 0であって、小便の飛距離も0である、つまり、便器まで小便が届かないという「放水ミス」が必ず起きるかというと、実はそういうわけではない。

 ポンプである膀胱から銃筒の先端までは、ある程度の長さがある。もちろん、その長さは一定ではないのだが、とにかくある程度の長さがある。そのため、小便が銃筒の先端から出る瞬間には、ポンプである膀胱にかかっている圧力Pは0ではないのである。すなわち、膀胱から銃筒の先端まである程度の長さがありさえすれば、「銃筒の先端を出るときの初速度V0」は結構大きくすることができるのだ。もちろん、腹筋を鍛えて、腹筋に急激に力を掛けることができれば、その効果はさらに上がることは言うまでもない。

 だとしたら、一般的に便器まで小便が届かないという「放水ミス」は一体何時起きるのであろうか?それは、「銃筒の先端を出るときの初速度V0」を決める膀胱にかかる圧力Pが低下し、なおかつ最初の瞬間と違い「膀胱から銃筒の先端までの長さ」を有効に活用できない、放水作業を終える瞬間である。飛行機でも着陸が一番難しいというが、この放水作業もやはり放水作業を終える瞬間が一番難しいのである。そのため、多くの場合小便達は便器内への着陸に失敗し、便器の下を汚してしまうのである。

 しかし、私は「男らしさ」の記念物でもある「立ちしょうべん」を守るために、一つの解決策を考えついたのである。「男らしさ」の最後の砦を守る技術を提唱したいのである。すなわち、「銃筒の先端を出るときの初速度V0」は腹筋で膀胱を締め付ける圧力Pに比例し、銃筒の先端の口径Aに反比例するのであるから、放水作業のラストに膀胱を締め付ける圧力Pが小さくなった、あるいは、膀胱を締め付ける圧力Pを有効に膀胱からの排水に変換できない排水作業のラストにおいて、銃筒の先端の口径Aを小さくしてやればよいのである。そうすれば、「銃筒の先端を出るときの初速度V0」は「銃筒の先端の口径A」に反比例するのであるから、膀胱から出てくる小便の量が低下しても、「銃筒の先端を出るときの初速度V0」を0にならないように維持することができるのである。これにより、放水ミスを防ぐことができるハズなのである。

 さて、私は「男らしさ」の最後の砦である「立ちしょうべん」を守るために、このような技術を考えてみたわけであるが、この技術の実証作業は行っていない。果たして、「銃筒の先端の口径A」を自分の意識で小さくすることができるか!?というところに大きな問題点があるような気もするのであるが、それは「男の意地」で克服できると私は信じている。外部から制御するって手もあるのだし。って何の手の話だ、全く。
 

2002-01-23[n年前へ]

雲の上から 

 日曜日に富士山上空を通過していく飛行機を見た。で、どの航路かと思ったけれど、この飛行機も同じような航路みたい。台湾とか香港はあのコースなのかな。(リンク

2002-03-06[n年前へ]

紙飛行機に乗ってた人達 

Fair is foul, foul is fair II

 先日、hirax.netの検索エンジン「ぐるぐる」宛にこんなメールが届いた。

 私たちが折り紙を覚えるとき、一番最初に折ってみたのは紙飛行機だった気がします。もしかしたら、私だけでなくて多くの人たちもそうであるのかもしれません。そこでふとこんな疑問が浮かびました。よく、時代劇で折鶴、紙風船がでてくることがあるのに、なぜ紙飛行機は出てこないのでしょうか?折り方は一番簡単なのに…。
 昔は、飛ばして遊ぶ折り紙はなかったのでしょうか?もしそんなものが何かあったとしたら、それを一体なんと呼んでいたのでしょうか。折り方でいちばん簡単な三角翼、いわゆるジェット機に似た形のものが有ったとしたら、それを何と呼んでいたのでしょうか?
この答えを探しに行った「ぐるぐる」はまだ帰ってこない。きっと何処かで「紙ひこうきの歴史」を調べているところなのだろう。あるいは、何処かで道草でもしているのかもしれない。

  きっといつか「ぐるぐる」も戻ってきて、上の検索結果も判るとは思うのだけれど、今回はこのメールで思い出した「ある紙飛行機に乗ってた人達」の話をメモしておこうと思う。それは、昔から語り継がれているらしい少し不思議な紙飛行機の話である。

 先日、スキーに行った帰りの車中で、私の会社の先輩にあたる人が「この話は二十年くらい前に大学の先輩から聞いた」と言って、私達にこんな話をし始めた。


 「これは不幸にも墜落した紙飛行機に乗っていた人達の話です」と言って、ある人が聞き手の前でこんな風に紙飛行機を折っていく。
 

紙飛行機を折る
まずはこんな紙を用意して
片側を三角に折る
もう片側も折り込む
真ん中で折る
一方の翼の部分を折り返す
逆側の翼も折り返す
よくある紙飛行機ができあがる
普通に飛ぶ紙飛行機である

 そして、話し手は、「ある日、この飛行機に過酷な運命が訪れる。その飛行機は、いつもと同じように乗客を乗せて、いつもと同じように飛行場を飛び立った。しかし、この飛行機は不幸にも翼の自由を奪われてしまう」と言いながら飛行機の翼を折り畳む。そしてさらに、「翼の自由を奪われたこの飛行機は何処かの場所に激突してしまう。紙飛行機には多くの乗客が乗っていたが、その人達を乗せたまま紙飛行機は真っ二つに割れてしまった…」とゆっくりと語り、その飛行機の胴体を二つに切ってしまう。
 

翼の自由を奪われた紙飛行機の胴体を二つに切ってしまう…
紙飛行機の翼を折り畳んだ状態で
胴体を真っ二つに切断する

 次に、話し手は「そしてこの不幸な飛行機の胴体は、紙飛行機に乗っていた人達と共にバラバラに散らばってしまった…」と言って、紙飛行機のカケラを散らばらせる。目の前で、全部で九つある紙のカケラはバラバラになっていく。

 そして、その散らばったカケラの中の一番大きな一つを拾い、折り畳まれたカケラをゆっくりと開きながら、「飛行機に乗っていたほとんどの人は天国に行った」と呟く。すると、確かに話し手の掌の中で拡げられていく紙のカケラは、いつの間にか十字架の形に変わっていく。
 

いつの間にか十字架に形を変えた紙飛行機のカケラ

 そして、まだ目の前に散らばっている残りの八つのカケラを話し手は拾い、それをゆっくりと並べながら「残りの罪ある悪しき人々は地獄へ行く」と話す。すると、その言葉のままに、残りの紙飛行機のカケラはいつの間にか姿を変えて"HELL"という文字に変わっていくのである。
 

残りの八つのカケラが形作る言葉…「罪ある悪しき人々は地獄へ行く」

 そして、最後には話し手と聞き手の間には、紙飛行機が姿形を変えた「十字架と地獄」だけが残り、「紙飛行機に乗ってた人達」は「善き人々と悪しき人々」に分けられて「天国と地獄」へそれぞれ別れていく、という話なのである。
 

バラバラになった紙飛行機が姿を変えた「天国と地獄」

 この話を聞いたときに、その「一見普通に見える」紙飛行機がバラバラになって、そしてそのカケラを並べ直すといつの間にか「十字架の形」と「"HELL"という言葉」に形を変えるなんて、とても不思議で少し不吉な話だなぁと小心者の私は思った。

 そして、この話がどんな風に作られて、どんな風に語られているかを知りたくなった私は、この話に関連しそうな話を探してWEBサイトを辿ってみた。すると、キリスト教の説法の一つとして、この「十字架と地獄」という話をいくつもWEB上で見かけることができた。そのほぼ全ては「天国と地獄」「十字架と地獄」といった「善と悪」の話だった。また、その話は「天国へのチケット」という風に、もとの形が飛行機でないものも多かった。
 

 そして、さらにいくつかの情報源を辿っていると、他とは少し変わった終わり方の話を見かけた。その話の中でも、全部で九つの紙のカケラの内の一つはやはり十字架になり、「飛行機に乗っていたほとんどの人は天国に行く」というところまでは他の話と全く同じだった。しかし、その話の中では残りの小さな八つのカケラが形作る文字が"HELL"という文字ではないのだった。
 

やはり残りの八つのカケラが形作る言葉…「残りの敬虔な人々も深い愛で包まれる」

 その残りの八つのカケラは並べ直すと、姿を変えてこんな風に"LOVE"という文字を綴るのである。そして、語り手はその文字を指しながら「残りの敬虔な人々も深い愛で包まれる」と終わるのだった。この形で終わる話を眺めて、ようやく、この「紙飛行機に乗っていた人達」の話は「とても不思議で少し不吉な話」から「とても不思議な話」だと私は思えるようになったのである。

 紙飛行機が何処かに激突して二つに分かれてしまう。ある人が語る話の中では「紙飛行機に乗ってた人達」は「善き人々と悪しき人々」に分けられて「天国と地獄」へそれぞれ別れていくと語られる。そして、また違う人は「紙飛行機に乗ってた人達」は「飛行機に乗っていたほとんどの人は天国に行き」「残りの敬虔な人々も深い愛で包まれる」と語られる。同じカケラが、語り手次第で「地獄へ行く罪ある悪しき人々は」だったり、「深い愛に包まれる敬虔な人々」だったりする。

 マクベスの冒頭の"Fair is foul, foul is fair."という言葉ではないけれど、何が善で何が悪かはほんの少しの視点の違い次第だ。それはもちろん、この八枚の紙のカケラに限らない。
 
 

2002-09-26[n年前へ]

オッパイ星人の力学 「胸の谷間」編 

新兵器「巨乳ビジョンLight」

 一見平和に見える島国でも色々な敵が潜入してくる。時には高速艇で日本海へ、そしてまた時には飛行機に乗ってディズニーランドへ、そして時には未確認飛行物体UFOに乗って色んな異星人達が日本へ潜入してくる。ワタシは、そんな異星人達の一派、オッパイ星人達と日夜戦っているのである。「オッパイ星人に狙われそうな可哀相な子羊(巨乳)」達をワタシはいち早く見つけだし、オッパイ星人達から可愛そうな子羊達を守るために、ワタシは日夜巨乳(あるいは微乳の)子羊達を見守っている。「オッパイ星人に狙われそうな巨乳はいないか~、揺れる胸はいないか~」と東北地方に住むナマハゲのように、人知れずパトロールを続けているのだ。

 そんな毎日の戦いの中で、かつてワタシは「見るバスト全ての形を明らかにしてしまう恐るべき最終兵器- 巨乳ビジョン -」を開発したのだった。しかし、左右のステレオビジョンでターゲットにロックインして激写し、撮影された複数画像からステレオマッチング法でバストの形状を明らかにする巨乳ビジョンには大きな問題があったのである。二つのレンズが左右に並ぶ「巨乳ビジョン」の勇姿はどうみても異様なのであった。巨乳ビジョンを装着しfoたワタシの姿は明らかにヘンでアブナイやつなのである。恐るべき異星人-オッパイ星人-と日夜戦い続け、地球を守る正義の味方には決して見えないのであった。どうしたって「スケベな盗撮野郎」に間違えられてしまうのである。

 世間で平和に暮らす愛すべき日本の人々がオッパイ星人の地球への襲来をちゃんと知っていて、日本全土に「オッパイ星人襲来」非常事態宣言でも流されていたとしたなら別なのであるけれど、一見平和に見える(実はそうでないのだが)この日本では「双眼レンズの異様なカメラ-巨乳ビジョン -」はなかなか使うことができないのであった。日夜地球を守る、人知れず人々の平和な生活を守るためには、つまりは人知れず「オッパイ星人に狙われそうな可哀相な子羊(巨乳)」達を見つけだすためには、異様な姿ではない巨乳ビジョンの新開発が欠かせなかったのである。決してヘンでアブナイやつ、ましてや「スケベな盗撮野郎」になんか間違えられたりしない「一見、普通のカメラ風の巨乳ビジョン」が必要なのであった。

 そこで、ワタシが開発した「巨乳ビジョンの簡易バージョン、一見普通のデジタルカメラ風の巨乳ビジョン」が今回の話の主人公- 巨乳ビジョンLight - だ。画像処理ソフトPhotoshopに簡易バージョンPhotoshopLEがあるように、そしてモーニング娘。にプッチモニがあるように、最終兵器「巨乳ビジョン」の簡易バージョンが「巨乳ビジョンLight」なのである。双眼の異様な姿では決してなく、単なる普通のデジカメを使うことができる画像処理システム、それが「巨乳ビジョンLight」なのだ。
 

 そもそも、初代「巨乳ビジョン」は左右の両眼視差を利用してバストの立体計測を行うメカニズムになっていた。「人間は両目で見ている画像の差を利用して、奥行き情報を知るわけであるが…」と前回の巨乳ビジョンの開発記で書いたように、角度を変えて配置した二つのカメラで撮影した二つの画像から、ステレオマッチング法を用いて奥行き情報(つまりはオッパイの高さ)を再構成していたのである。そのために「巨乳ビジョン」は双眼の異様な姿になってしまっていたのである。

 しかし、考えてみれば人間が立体感を得る手がかりは両眼視差だけではないのである。立体感を得るためには、他にもいくつもの手がかりがある。そのいくつもある手がかりの一つが「陰影」である。女性の化粧が(男性の化粧においても)多くの場合鼻を高く見せたりするために、鼻周りの「陰影」を強調したりするように、「陰影」は立体情報を得るための大きな手段なのである。例えば、下の二つの図形、「陰影」がある場合と「陰影」がない場合を比べてみれば、どちらがハッキリと立体感を得られるかは明らかだろう。そう、左側の「陰影」がある場合は見事なまでの半円状のたわわな巨乳形状を感じとることができるのに対し、右側の「陰影」が無い場合ではそんな官能的な形状を感じ取ることはできず、むしろ真っ平らに見えるに違いないのである。実は全く同じ形状であるにもかかわらず、陰影の有り無しの違いだけで「巨乳」と「クレーター」の差になってしまうのである。
 

どちらが「立体」に見える?
「陰影」がある場合
「陰影」が無い場合

 こんな風に、「陰影」がある場合のたわわな巨乳形状を見れば一目瞭然なように、「陰影」による立体感が「オッパイの形状認識」に及ぼす影響はとても大きいのである。その代表的な例が「胸の陰影が描き出す胸の谷間」である。試しに「胸の谷間」でGoogle検索(おこちゃまは禁止)をして入手した典型的な「胸の谷間」画像を眺めてみれば、そんな「陰影」によるオッパイ形状認識に及ぼす影響の偉大さを感じ取ることができるハズだ。
 

典型的な「胸の谷間」
光が描き出す「陰影」は実に何とも官能的な立体感を(以下省略)

 実は、今回の主役「巨乳ビジョンLight」はこの「陰影」を手がかりにオッパイの形状認識を行うのである。「光」が描き出す胸の谷間の陰影、その「光=Light」による微妙な陰影を手がかりに「巨乳ビジョンLight」は見るバスト全ての形、特に胸の谷間の立体形状を明らかにするのである。そう、「巨乳ビジョンLight」はLightの力を利用するが故に、「巨乳ビジョンLight」であって、単なる廉価版「巨乳ビジョン」ではないのである。「巨乳ビジョンLight」の名は体を表してるのである。光があるところに陰がある。山があるところに、谷がある。もしそこに巨山があるならばやはり巨大な谷ができ、巨大な陰ができる。それすなわち「胸の谷間」なのである。だから、その陰影を「巨乳ビジョンLight」で解析してやるならば、山谷の立体形状を知ることができるのだ。
 

 というわけで、実際のところ「巨乳ビジョンLight」は基本的に普通のデジカメで撮影された画像に対して立体解析を行う単なる画像処理システムである。ワタシはそのシステムのために、まずはPhotoshopとExcelのような表計算ソフトを連携させるプラグインCSVf(制作日記)を作成した。
 

画像解析プラグインCSVfの動作中のスクリーンショット
画像の値を表計算方式のセルで表示させ、Excelでグラフを描いたりすることができる。

 これは画像の値を表計算方式のセルで表示させ、その表示されたデータをExcelでグラフにしたりすることができる。つまりは、画像データを解析して、色々な表示方式で立体化することが素晴らしくも簡単にできるようになるのだ。もちろん、フリーのソフトウェアでもScionImagePCやImage Toolなどで似たようなことはできるが、表計算方式のセルで表示という点において、このCSVfは使い勝手の点で勝っているハズである。

 そして、先ほど入手した「胸の谷間」画像に対して、試しに画像解析を行ってみることにしよう。何はともあれ、単に「胸の谷間」画像を立体化してみた場合の結果を眺めてみることにしよう。まずは、単純に画像の明るさを「バストの高さ」に直して、等高面グラフにしてみるのである。ちなみに、右肩上方から胸の谷間を覗くような方向に視線を設定して、三次元グラフに表示してみることにする。三次元グラフは色々な方向から眺めることができるが、やはり「胸の谷間」を覗く視線ベクトルは「右肩上方から斜め下60度」であるべきなのだ。
 

典型的な「胸の谷間」
右肩上方から胸の谷間を覗くような方向で三次元化する

 とはいえ、この「胸の谷間(点線で囲った矩形領域)」を単純にCSVfで立体グラフに直しても、下のグラフのようなわけの判らないグラフになってしまう。それはもちろん当たり前である。単純に「画像の明るさ」=「バストの高さ」になるわけがないのである。ほんの少しだけ、実写真の「胸の谷間」の高さ分布と似たような形状になってはいるが、これでは全くの別物であることは間違いない。よほどの想像力豊かな人であれば別だと思うが、少なくともワタシはこのグラフからでは「胸の谷間」を想像することはできないのである。
 

「胸の谷間」画像の輝度をプロットしたもの

 実は、「胸の谷間」画像の陰影からその立体形状を再構成するためには、この「胸の谷間」画像中の各ピクセルの「明るさ=輝度」を積分してやらなければならないのだ。詳しくは、次回以降のオッパイ星人の力学 「胸の谷間」の法線ベクトル編でそのベクトル解析理論と解法アルゴリズムを述べることとして、今回はまずはそんな作業を実際にしてみた例を次に示してみることにしたい。

 下のグラフが、「胸の谷間」画像の輝度をXY方向に積分し、胸の谷間を再構成してみた結果である。つまりは、先ほどの「胸の谷間」画像から新兵器「巨乳ビジョンLight」を使うことで得られる胸の谷間の立体形状なのである。先ほどの実写真と比べてみれば、驚くほどにその立体形状・胸の谷間の形状を再現・解析することができていることが判るだろう。しかもExcel上ではこのグラフをぐりぐりぐりぐり・ぐるぐるぐると色んな方向から眺めることだってできるのである。これが、「巨乳ビジョンLight」システムの恐るべき能力なのだ。
 

「胸の谷間」画像の輝度をXY方向に積分し、胸の谷間を再構成してみたもの

 このグラフを色々な角度から眺めれば眺めるほど、素晴らしく官能的な「胸の谷間」の立体形状を認識できていることがわかると思う。寄せて上げて胸の谷間がプレートテクトニクスのように作り出されているようす手に取るように実感できるハズだ。これが科学の力なのである。正義の武器廉価版「巨乳ビジョンLight」なのである。PyramidパワーダウンジングGPS捜査「思い込み」エネルギー、など他にも超科学の力で日夜戦いを続けている数多くの正義の味方達がいるが、ワタシもこの「巨乳ビジョンLight」を武器にオッパイ星人達との戦いを優位に進めたい、と思ったりするのである。

 とはいえ、初代「巨乳ビジョン」が「バスト全ての形を明らかにしてしまう」というその恐るべき能力と、その異様な(ヘンな)姿を理由にワタシが人知れず封印してしまったように、実際のところこの「巨乳ビジョンLight」だって、見てくれは「単なるデジカメ+解析ソフトウェア」であるにしても、やってることは「スケベな盗撮野郎」と違うとは言い切れないのだ。いや、初代「巨乳ビジョン」の方はまだ少しは計測っぽい感じが残っていたけれど、単なるデジカメ画像で十分使用することができる今回の「巨乳ビジョンLight」ではもう全く持って盗撮野郎と同じなのである。いくら何でも、普通のデジカメで街行く女性のバストを(人知れず)撮影し、そのバストの形全てを(勝手に)明らかにしてしまうなんてことは、いかにワタシがオッパイ星人と戦う正義の味方といえども決して許されるわけはないのである。

 というわけで、結局のところ「巨乳ビジョンLight」は実際に街中で使用できるわけもなく、オッパイ星人と日夜戦うhirax.netオッパイ戦隊の兵器庫にまたひとつ封印された禁断の武器が増えてしまったのである。今回のオッパイ星人対戦記はこんなふうにほろ哀しく終えるわけであるが、これに懲りずにこれからもワタシは強力兵器の開発を続けていくのである。それが、孤独な正義の戦いというものなのである。



■Powered by yagm.net