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1999-11-13[n年前へ]

やっぱり、ウニが好き ! 

Dr.フラーはウニの夢を見るか?




 私は野球は特に好きでも嫌いでもないが、野球場でビールを飲むのは大好きだ。と、始めると

の間違いと思われるかもしれない。しかし、それは違う。今回は、ウニとドームハウスの共通点について、考えてみたい。ただ、かなりビールが脳みそにしみているせいか、少しドンデモ話になるかもしれない。そこは、「ビックエッグの力学」と共通である。

 私の中では、野球観戦と言えば、ビールだ。野球にはビールが良く似合う。そして、今現在も目の前にはビールがある。そして、寿司がある。といっても、スーパーで買った安物である。二つ合わせても1000円にしかならない。

「すし」と「うに丼」、合わせて1000円なり

 安物といっても、私の住んでいるのが港町だから安い、ということもある。何しろ、ほとんどのスーパーの魚売り場でイルカの肉なども置いてあるのだ。嘘ではない。ホントにホントである。私も、引っ越してきた当時はビックリしたが、本当である。アメリカの動物愛護団体が見たらびっくりの風景だろう。「イルカと人間はお友達」と言ってる人には見せられない風景だ。
 あまりおいしそうではないので、私はまだ実際に味わってはいない。しかし、地元の人の中には「よく食べる」と言う人もいる。いつか、挑戦してみたい。

 さて、上の写真で共通しているのはウニである。ウニと言えば、こんな姿をしている。

じっとたたずむウニ(リンク先は青森県営浅虫水族館)

 「海栗」と書いてウニと読むことが実に納得できる姿である。しかし、内面はもう少し違う。実は、ウニはドームにそっくりである。前回考えたドーム球場ではないが、ウニは実はドーム構造をしているのだ。「そんなことは当たり前じゃないか」と言う人もいるだろう。しかし、私はつい最近までそれを知らなかった。そもそも、骨があるとすら思っていなかったのである。

 もしかしたら、私のようにウニの内面を知らない人もいるかもしれない(そんな人はいない、という声も聞こえそうだが)。そこで、ウニの骨の写真を示してみる。下に示すのが、色々なウニの骨だ。

色々なウニの骨

実物はとてもきれい。日本古来の木工細工のような穴がとてもきれいである。

 これは少し前に、宇宙科学研究所の黒谷氏の実験室を見学(ただ邪魔しただけという気もするのであるが)する機会があり、そのとき頂いたものである。最初に見たときは、「目からウロコ」であった。まさか、あの針の山の下にこんな頑丈な殻が存在しているとは、思わなかった。
 写真ではわからないかもしれないが、骨には小さな穴が極めて規則的に開いている。それが、日本古来のとても出来がいい木工細工のようである。光に透かしてみると、うっとりするようなきれいさである。内部に強い光源でもおけば、プラネタリウムやミラーボールみたいに細い光線を放射する、きれいなアクセサリーができそうだ。
 ところで、「何故、宇宙科学研究所の実験室にウニが?」と思われる方は、WEBで検索でもかけてみると良いかもしれない。「宇宙生物学」という面白い実験分野があるものだ。
 例えば、無重力の中で生物がどのような挙動を示すか、などの研究をしたりするらしい。飛行機にのってそういう実験を繰り返すわけである。遊園地のフリーファールやバンジージャンプ、そして、ジェットコースターでさえ、駄目な私には地獄のような研究分野である。

 さて、上の、ウニの骨の姿はまさにドームそのもの、とは思えないだろうか? そう、似ているのだ。 そっくりなのだ。試しに、このドームなどを見れば納得できるだろう。

富士山頂のレーダードーム

 これは、富士山頂の厳しい環境を耐えるために、極めて安定なドーム構造が用いられているのだ。三角形のパネルが組み合わさるドームハウスは極めて頑丈である。ウニも、同じように頑丈なドーム構造の骨格を持っているのである。レーダードームは富士山頂で頑張っているが、宇宙科学研究所のウニは色々なところへ連れて行かれて、厳しい実験に耐えているのである。

 こういった、ドームと言えば、R.バックミンスター・フラー博士のドーム理論だろう。フラー博士とドームハウスのスケッチ図を示してみる。

Fuller博士とドームハウスのスケッチ

この姿はまるで富士山頂のドームみたいである

 よく、環境適応性の高さを謳うことの多いドームハウスであるが、もしかしたら、ウニがその祖先であるかもしれない。もしかしたら、フラー博士は「海の中でじっとたたずむウニの夢を見て」ドームハウスを思いついたのかもしれない。
 アメリカ人であるフラー博士がウニを食べたとは思えない、という人も多いだろう。それは確かにその通りである。しかし、フラー博士はかなりの変人である。変人ならば、ウニを食べまくっていたとしても、おかしくはない。
 普段は「何を馬鹿な発想だ」と思うことだろう。しかし、ドーム球場の野球を見ながら、脳みそがビールとウニで満たされてしまうと、「そうだ、フラー博士はウニが大好きなのだ!そうに違いない!」と確信してしまうのだ。
 仮に、フラー博士がウニに影響されていないとしても、ウニはフラー博士がドーム理論を考えるずっと太古の昔から、ドーム構造をしていたのである。ならば、「元祖はやはりウニなのだ!」と言ってしまって良いだろう。太古から厳しい環境を耐えつづけてきたウニは、今や宇宙へ飛び出し、さらに厳しい環境の中で活躍しているのである。



1999-11-15[n年前へ]

「星の王子さま」の秘密 

水が意味するもの


 今回は、Saint-Exuperyの「星の王子さま」- Le petit prince -について考えてみたい。しかし、メルヘンな話を期待する方は、おそらく失望することだろう。もし、今持っているイメージを壊したくない方は、今回の話は読まないほうが良いかもしれない。

 おそらく一般的に多いであろうイメージの「星の王子さま」というものは、私はそれほど好きではない。よくWEBで見かける「この本は、真実を見る目を失いかけた大人のための童話です。」というイメージである。私も、かつてはそういう認識だった。そして、「それだけでは、何かもの足りない」という感じがしていた。そのため、「星の王子さま」を好きではなかったのだ。

 しかし、

  • 「星の王子さまの世界 - 読み方くらべへの招待 -」 塚崎幹夫著 中公新書
を読んで、そのイメージが一変した。これまで、「星の王子さま」の側面、あるいは仮面しか読んでいなかったことに気づかされた。読み方が足りないことに気付かされたのである。「星の王子さま」の底に流れているものに気付かなかったのである。実は「何かが足りない」わけではなく、私の読み方が浅かったのである。先の「この本は、真実を見る目を失いかけた大人のための童話です。」というイメージは私の読み方が浅かったせいであって、もう少し深く読めば、「真実から目を背けている人への告発・遺言」と受け取ることができたはずなのであった。

 さて、今回は私なりの「読み方」をしてみたい。具体的には、「水」というキーワードにこだわって解釈を行ってみるのだ。何故か、私はこの「星の王子さま」の中で「水」というキーワードに「深い何か」を感じるのである。

 何故、こういう単語にこだわる読み方をするかと言えば、それは塚崎幹夫氏の「星の王子さまの世界- 読み方くらべへの招待 -」の影響である。その内容の紹介を少し紹介しておく。

 塚崎幹夫氏は、 話の冒頭に出てくる「ゾウを飲み込むウワバミ」が何かもう少し深いものを指しているのではないか、と考える。「本当にもののわかる人かどうか」知るために、主人公が人に見せる「ゾウを飲み込むウワバミ」が何か深いものを指しているのではないか。「半年のあいだ、眠っているが、そのあいだに、のみこんだけものが、腹のなかでこなれ」そして次の獲物をのみこむウワバミは何を指しているのか、と考えた。
 そして、次のような年表を示す。

  • (1937.7.7 日本、中国侵略開始)
  • 1938.3.10 ドイツ、オーストリア侵略
  • 1938.9.29 ドイツ、チェコ侵略
  • 1939.3.15 ドイツ、チェコ解体
  • (1939.4.7 イタリア、アルバニア占領)
  • 1939.9.1 ドイツ、ポーランド侵入
  • 1940.4.9 ドイツ、デンマーク、ノルウェー侵入
  • 1940.5.10 フランス、ドイツに大敗
  • 1940.11 Saint-Exuperyヴィシー政府に失望し、アメリカに亡命、その後、ヴィシー政府がSaint-Exuperyを議員に任命する。(どこかで聞いた話)
 ここから、半年毎に獲物を飲み込むウワバミはドイツのことを指している、と考えるのだ。
 つまり、ゾウを飲み込むウワバミが、帽子にしか見えないことが「真実を見る目を失いかけた」といっているのではない。これは、ウワバミの中で飲み込まれつつある動物のことを考えることができないことを、「真実を見る目を失いかけた」と言っているではないだろうか。もちろん、そのウワバミとは文字どおりのウワバミではなく、違うものを意識した話なのである。

 同じように、「ぐずぐずしてはいられないと、一生けんめいになって」描いた「3本のバオバブ」は挿し絵についても考察を巡らせている。
  • 「(バオバブは)星の上いちめんに、はびこります。」
  • 「バオバブはほうり出しておくと、とんだ災難になるんだ」
  • 「まだ、小さいからといって、バオバブの木を三本ほうりっぱなしにしておいたものだから...」
  • 「ですから、ぼくは、一度だけ日ごろのえんりょをぬきにして、こういいましょう。<みんな、バオバブに気をつけるんだぞ!>」
  • 「ぼくの友人たちが、ぼくと同じように、もう長いこと知らないで危ないめにあいかけているので、気をつけるんだよ!といいたいためです。」


 塚崎幹夫氏はこれら「3本のバオバブ」はドイツ・イタリア・日本を指しているのではないかと指摘している。
 こういった「読み方」をしながら、「星の王子さま」が「苦悩に満ちた懺悔と贖罪の書であり、自分の死後のフォローを意識したもの」であるのではないか、と言う。


 さて、塚崎幹夫氏の影響を多いに受けている私ではあるが、私なりの「読み方」をしてみたい。「水」というキーワードにこだわった「読み方」をしてみる。私の受ける印象では、「水」というキーワードには深い思いが込められているはずなのだ。

 そのために、

から情報を辿り、から「星の王子さま」-"Le petit prince-のフランス語のテキストを入手した。オリジナルにこだわったわけではない。日本語版も英語版も電子テキストでは手に入らなかったのである。

 さて、単語にこだわって解析をするとなれば、

と同じように、WordFreqを使うのが有効だろう。まずは試しに"CHAPITRE"の出現分布を調べてみよう。そうすれば、行数と章構成の対応がわかるわけだ。
行数と章構成の対応
 このように27章と物理行の対応がわかる

 それでは本題の、"'eau"の出現分布を調べることで、「水」の出現分布をwordfreqで解析してみる。

"'eau"-水-の出現分布

 最初と最後に「水」が登場しているのがわかる。このような、物語の「始まり」と「終わり」集中して出現する単語と言うものは、重要な意味を持つと考えるのが普通だろう。冒頭で、水を持たない主人公が、話の最後で水を湛える井戸を見つける。これは、どのような意味があるだろうか。また、王子にとって重要な「守るべきもの」に王子は水を与えていたこと、これらは何を意図したものなのだろうか。

 さて、「水」が出現するのは

  1. 50行目付近
  2. 300行目付近
  3. 1300行付近
の計三箇所である。それは、冒頭の主人公が水をなくしたところ、バラに水をやるところ、王子と主人公が水を探しに行き、見つけるところである。それでは、その出現個所の中から重要そうな部分を拾ってみよう。特に、最後の1300行近辺を集中して考えてみる。ここで、冒頭の数字は、「星の王子さま」岩波少年文庫でのページ数を示している。
  • 115 だって、ぼくが水をかけた花なんだからね。
  • 124 水は心にもいいものかもしれないな...
  • 131 その水は、たべものとは、別なものでした。
  • 131 だけど、さがしているものは、たった一つのバラの花のなかにだって、少しの水にだって、あるんだがなぁ...
  • 147 星がみんな、井戸になって...そして、ぼくにいくらでも、水をのませてくれるんだ。
 また、他の作品「城砦」の文章も示しておこう(といっても星の王子さまの世界からの孫引きであるが)。
  • その人間を解放するということは、彼に渇を教え、また井戸への道を教えてやることだ。
  • それら井戸のひとつひとつに、どうしてもたどりつかねばならないようにするだろう...必死になってその井戸をめざさねばならなくなる。
  • おまえが水を飲もうと思うとき、....おまえの行為を祈りという意味に化するのである。
 こういった、文章をつなげて読んでいったときに、「砂漠が美しいのは、どこかに井戸をかくしているからだよ...」という言葉は殉教者の言葉に聞こえてくる。「砂漠」が「生」と感じられたり、「井戸の中の水」が「意義」と感じられたりするだろう。また、他の言葉にも聞こえてくる。しかし、それらをひとつひとつ挙げることはしない。

 こういう言葉の意味するものをそれぞれ考え、「かんじんなことは、目に見えない」という言葉をもういちど読みなおしたときに初めて、Saint-Exuperyの「星の王子さま」が私は好きになったのである。その「星の王子さま」の二面性こそ、私が好きな部分である。

 さて、最後に次のような二つの文章を並べてみる。こうすると「星の王子さま」に流れる強い背景・考えを感じるのではないだろうか。

二つの文章
「わたしは、この本を、あるおとなの人にささげたが、....そのおとなの人は、いまフランスに住んでいて、ひもじい思いや、寒い思いをしている人だからである。どうしても慰めなければならない人だからである。...
子どもだったころのレオン・ウォルトに」
「星の王子さま」 献辞

(レオンウォルトに)
「今夜しきりと思い出す人物は今50歳だ。彼は病気だ。それにユダヤ人だ。どうして彼にドイツの恐怖を乗り越えられよう?」
「ぼくがなおも戦いつづければ、いくらかは君のために戦うこととなるだろう。...ぼくは、君が生きるのを助けたいのだ。実に無力で、危険におびやかされている君の姿が眼に浮かぶ。更に一日生きのびるために、どこか貧しい食料品店の前の歩道を、50という年齢を引きずって歩きまわっているきみの姿が、擦り切れた外套に身をくるんで、仮の隠れ家で身を慄いているきみの姿が、眼に浮かぶ。」
「ある人質への手紙」

 やはり、「星の王子さま」は端的に言えば、寓話の形をした遺言(の準備をしたもの)であるのだろう。「星の王子さま」が出版された四日後、Saint-Exuperyは戦うためにアメリカからアフリカへ出発する。

 「星の王子さま」は一つの挿絵と、その挿絵の説明で話が閉じられる。その最後の挿し絵は王子が姿を消した場所を描いたものだ。それだけではない。その「アフリカの砂漠」は、Saint-Exuperyが最後に「戦う兵士」として飛行機で通過し、そして、姿を消した場所でもある。

「これが、ぼくにとっては、この世で一ばん美しくって、いちばんかなしい景色です」


2000-03-02[n年前へ]

掌サイズのゲームセンター 

20年前をポケットに入れて

  前に

で - CASIOのE-55に「英語技術文献の日本語要約 」を入れて持ち歩こう - という話題を書いた。そして、そのラストは
 このボディーの中に1995-1999のScienceのアブストラクトが詰まっているのである。
 あと、ゲームも…
であった。

 今回は、同じくPalmsize-PCで「ゲーム」をして遊んでみたい。しかし、そんなことを言うと「ゲームをするだけなのに、何故そんなにエラそうな口調なんだ」、と突っ込む人もいるだろう。そう言われたら、言い返す言葉もない。「ハイ、その通りです」としか言いようがない。
 しかし、私はゲームをほとんどしない。いや、最近は全くしない、と言っても良い位だ。だから、ゲームをするのにも、覚悟がいるのである。

 そしてもう一つ、自分ではしないゲームをしようと思ったのには、ちゃんとした理由がある。簡単に言えば、Palmを見返したかったのである。つねづね、世の中でもてはやされるPalmを見るたびに口惜しかったわけだ。

 私の周りにはPalmを使う人が多い。その人達は、「Palmは沢山ソフトがあって良いよ。」とか、「Palmsize-PCってPalmのバッタもんちゃうの?」とか言うのである。もちろん私も、世の中の流れがPalmsize-PCでなくて、Palmに向かっていることも感じてはいる。しかし、私はアマノジャクなので、「みんなが持っているPalmを買うのは面白くない」と思い、Palmsize-PCを買っているわけだ。

 しかし、そんな私にPalmユーザーは「やっぱ、世の中多数派に限るよ。」とか言うわけだ。しかも、根っからのMacユーザー(&Palmユーザ)であるにも関わらずそんなことを言う人さえいるのである。いつもは、「WindowsユーザーってMacユーザーに冷たいよなぁ。」とか、「良いものは所詮、少数派なのさ。」と言い合っているのにも関わらず、そんなことを言うのである。「少数派の誇りはどうしたぁ」と言いたくなる。しかし、これまではじっと我慢の子であったのである。

 そして、そんな私にPalmユーザーは楽しそうなゲームソフトなどを見せつけるのである。いや、もちろんPalmsize-PCにもそういうソフトはちゃんとあるわけであるが、どうも数から言うと負け気味だったのである(数えたことないけど)。

 そんなわけで、Palmsize-PCで沢山のゲームソフトが動く、というのが私の夢だったのである。そして、それをPalmユーザーに見せつけるのが、私の夢だったのだ(なんとも、小さい人間ではあるが…)。しかし、これまではそれは単なる夢だったのだ。

 しかし、最近

  • MameCE ( http://www.mamece.com/ )
が作られた。WindowsCE上で動くMAMEが出たわけである。そもそも、
  • MAME ( http://www.mame.net/ )
というのは、"MULTIPLE ARCADE MACHINE EMULATOR"の略であり、色々なアーケードゲームのエミュレーションを実現するソフトウェアである。簡単に言えば、スゴイソフトである。MAMEさえ動けば、数え切れない程のアーケードゲームを動かすことが出来るのだ。Palmsize-PCがPalmに一発逆転できるの可能性があるのだ(ゲームの数に関してだけ、そして、ROMがあればの話)。

 というわけで今回の話は、私の周りのPalmユーザーに捧げたい。「Palmsize-PCで数え切れないゲームを動かしてみる」という話なのである。「こんなにゲームが動いてしまって良いのかしら?」という話なのである。

 それでは、その画面を見せつけてみたい。私の好きだったゲームを動かしてみるのだ。掌サイズのゲームセンターを実現するのである。

 それが、以下の写真である。これはCASIO E-500でMameCEを動かしている画面である。まずは、シューティングゲームの両雄、「スペースインベーダーとギャラクシアン」である。
 

スペースインベーダー(左)とギャラクシアン(右)

 そして、次がパックマンと後の有名人マリオのデビュー作でもあるドンキーコングだ。パックマンの画面の面白さは実に素晴らしい。
 

パックマン(左)とドンキーコング(右)

 しかし、こうしてみると私が気に入っているゲームは実に古いゲームばかりだ。ROMに書かれている制作年を示すと、

  • スペースインベーダー 1978年
  • パックマン 1980年
  • ドンキーコング 1981年
  • ギャラクシアン 1981年
という感じである。懐かしのゲーム大特集だ。遙か20年も前のゲームばかりである。いや、たった20年前だろうか?何か、ポケットの中に20年前を入れているような気分になってくる。20年前に憧れたゲームセンターのゲームが掌の中で動いているのだ。

 こうしてみると、時の流れはなんて速いのだろう。ビックリしてしまう。いつの間にか、年をとってしまったのである。

 しかし、そうそう驚いているだけではマズイ。そんな「早い流れゆく時の中を、軽やかに駆けめぐりたい」と私は強く思うのである。「Palmユーザーと張り合っている場合ではない」のである。少し、後悔である。どうも、私は「後悔先に立たず」というのが多すぎなのである。

 というわけで、「流れゆく時の中を軽やかに駆けめぐりたい」という気持ちを示すために、1982年の作品である「タイムパイロット」を最後に示して終わりにしよう。時間の流れの中を飛行機で飛び回るのだ。BGMは10年経っても古さを感じさせない、そう「浪漫飛行」なんか良い感じだ。
 

タイムパイロット(BGMは浪漫飛行)
トランク一つだけで
浪漫飛行へIn The Sky
飛びまわれこのMy Heart
  
時が流れて…
 
 

 この画面の真ん中にいる飛行機 - 時を駆けめぐる飛行機 - を操縦する「タイムパイロット」がぼくらだ。そして、「タイムパイロット」は自由自在に時の中を駆けめぐるのである(もし、上手ければね。あぁ、また撃墜されたぁ…)。
 

2000-06-28[n年前へ]

カラープリンターの選手宣誓 

ICCファイルを眺めてみよう その2


 ここ数年間にわたって、報告会の前夜遅く(というより当日の朝近く)になると、インクジェットプリンターを並べて発表用のOHTを印刷しまくるという生活が続いていた。「PC使ってプレゼンのソフト使ってやればOHTを出力しなくて済むし楽なのに」と言う人がいるかもしれない。しかし、ただ単純にそう考える人は私は素人だと思う(その理由はいつかまた詳しく書く)。とにかくOHTは必要なのである。

 そういう深夜に大量のOHTを印刷する際に、出力する枚数が数十枚ともなるとインクジェットプリンターでは時間がかかるし、とても大変なのである。かといって、レーザービームプリンターやコピー機はスピードは速いが、カラーのOHTの出力など汚くてできない。そこで、インクジェットプリンターを何台も並べてOHTを出力しまくるという手段に出ることが多い。OHTの出力作業を並列に行うわけだ。

 しかし、そんな時にまた困るのがそれぞれのプリンターの色特性が違うということである。どのプリンターで出力するかどうかで、全然違う色に変わってしまうのだ。下手をすると「こんなのじゃ使えないぞぉ。やり直しだぁ。」というわけで、私の睡眠時間はさらに削られていくのである。
それぞれのカラープリンターの色特性が違うせいで、私の睡眠時間は減るし、腹は減るし、踏んだり蹴ったりなのであった。そういうわけで、私はプリンターの色特性は興味もあるし、恨みもずっと抱いていたのである。「それぞれのカラープリンターからどんな色の出力がされるのか」、というのは私にとってとても大きな問題だったのである。

 と、前振りはここまでで本題に入ろう。前回、

で、
 また、「カラープロファイルで眺める各社のプリンターの性能比較」というような企画でもしてみようかな、とふと思うのであった。
と書いた。今回はその「カラープロファイルで眺める各社のプリンターの色特性比較」を行ってみたいと思う。カラープロファイル・ファイルには「それぞれのカラープリンターからどんな色の出力がされるのか」という情報が書いてあるわけで、そういうことを知っておけばプリンターで出力するときに何かの役に立つはずだ。少なくとも、私の睡眠時間を減らさない程度には役に立つだろう。

 そこで、今回は試しに4機種のレーザープリンターを選んで、それらのプリンター用のカラープロファイル・ファイルに書き込まれている「それぞれのカラープリンターからどんな色の出力がされるのか」という情報を比較してみることにした。カラープロファイル・ファイルの解析には

から入手できるProfile Maker Pro.のデモ版を用いた。

 まずは、この二機種を比較してみよう。世界のhpと日本のキヤノンのカラーレーザービームプリンターである。選んだレーザービームプリンターの機種はHPLaserJet 4500とCanon LBP-2040である。
 

HP LaserJet 4500 と Canon LBP-2040
リンク先は
( http://www.jpn.hp.com/GRP2/bizprt/lj/clj4500/img/photo.jpg )
( http://www.canon-sales.co.jp/Product/LBP/2040-gif/2040_ph.jpg )
HP LaserJet 4500

Canon LBP-2040

 この写真を見ると実はこの二機種は瓜二つである。車で例えれば、TOYOTAのカローラとスプリンターのようにそっくりである。こういう場合、中身は同じであることが多い。カローラとスプリンターが実は中身は同じであるように、この機械もきっと中身は同じなのだろう(確かじゃないけど)。簡単に言えば、OEM製品である。

 この二つのプリンター用のドライバーを各会社のWEBから入手し、カラープロファイル・ファイルを解析してみた。次に示すのが、カラープロファイル・ファイルの中に記載してあったHPLaserJet 4500(左)とCanon LBP-2040(右)の

  • xy空間 ( 上段 )
  • ab空間 ( 下段 )
における出力可能な色空間である。
 
HP LaserJet 4500(左) と Canon LBP-2040(右)
上段 : xy空間
下段 : ab空間
HP LaserJet 4500

Canon LBP-2040

 こうしてみると、大幅に出力可能な色空間が違うことがわかる。中身は同じっぽいのに、出力できる色空間は異なるのである。本当ならば、面白いことだ(どっか解析方法を間違えたかもしれないが...)。ソフト処理の違いだろうか?

 といっても、プリンター用のカラープロファイル・ファイルは結構複雑だし、「カラープロファイル・ファイルに書いてある内容」が必ずしも正しいとは限らないだろう。カラープロファイル・ファイルは単なるそれぞれのカラープリンターの選手宣誓であって、本当のことが書いてあるとは限らないと思う。どちらかが単にホラを吹いているということも考えられる。本来出力できないはずなのに、「いや、オレは出力できるッスよ。」とホラを吹いているということも考えられるわけだ。

 同じようなことを、「勢いにのってる」Epsonと元祖富士XeroxのEpson LP-8500CとFujiXeroxColorLaserWind 3310について行ってみた結果が次である。ちなみに、FujiXeroxColorLaserWind 3310の写真が見つからなかったので、下の写真にはFujiXeroxColorLaserWind 3320PSのものを用いた。
 

Epson LP-8500C(左)とFujiXerox ColorLaserWind 3320PS(右)
リンク先は
( http://www.i-love-epson.co.jp/products/printer/color/
lp8500c/img/n_lp8500.jpg )
( http://www.fujixerox.co.jp/product/color_laser_wind_3320ps/
images/color_laser_wind_3320ps.jpg)
Epson LP-8500C

FujiXerox ColorLaserWind 3320PS

 こちらも、先のHP LaserJet 4500(左)とCanon LBP-2040(右)と同じく、瓜二つである。ということは、これもまた中身は同じモノなのだろう。

 こちらの方の解析した「出力可能な色空間」が以下である。
 

Epson LP-8500C(左)とFujiXerox ColorLaserWind 3310(右)
上段 : xy空間
下段 : ab空間
Epson LP-8500C

FujiXerox ColorLaserWind 3320PS

 この場合には、若干の違いはあるが大体同じであることがわかる。中身が同じで、ソフト部分のみ違うだけだと思うのであるから、当然とも言えるし、少し意外だとも言える。なぜ意外かというと、この二機種は実際に使ってみると結構出力が違うからである。もちろん、出力可能な領域だけでなくて、その内部でどう出力する色を振り分けるかということの方が実は一番重要だったりするので、「意外」というのは言い過ぎかもしれない。

 また、EpsonのLP-8500Cの場合は印刷のモードに合わせて、ICCファイルが複数用意されていた。「それらの間の違い」、すなわち、「印刷モードが違う場合に出力される(あるいはメーカー側が意図している)色空間がどのように違うのか」などは、次回以降に考察してみたいと思う。

 しかし、今回は書いているうちに内容が少しヘビーだと感じ始めた。私には色々な意味で結構難しい内容なのである。まるで空中分解してしまう飛行機のようであるが、ここらへんでいきなり終わりにしておきたい。というわけで、最後にLab空間でのそれぞれ四機種の「自己申告の」出力空間を重ね合わせたものを示してみる。
 

Lab空間でそれぞれの出力空間を重ね合わせたもの

 こうしてみると、Canon LBP-2040以外はどれも似たようなものである。まぁ、どれも同じ電子写真方式なのだから当たり前である。しかし、それでも少しずつ違うことが面白い。逆に、CanonLBP-2040はあまりに違いすぎて、私がどこかを間違えた可能性が大である。

 さて、いきなり冒頭の話に戻る。私は気分的には「報告会 = 試合」だと思っている。自分の戦力のどこが強くてどこが弱いかを意識しながら、最善を尽くしたい、と思っているわけだ。さらに言えば、自分の戦力のどこが強くてどこが弱いかが判っていれば、例え勝てないにしても、善戦はできると思っている。だから、前回

 icmファイル(カラープロファイルファイル)には、それぞれのディスプレイの出せる「色空間」が書かれている。言わば、それぞれのディスプレイの「守備範囲」が書かれている。それぞれのディスプレイにそれぞれの「守備範囲」がある。それぞれのディスプレイやプリンタ達の「ここの範囲ならまかせとけ」という範囲である。

 その守備範囲をちゃんと知ってさえいれば、「少ない戦力でも勝つこと」ができるかもしれない。

と書いたように「どんなことができるか」を知るのはとても大切だと思っている。カラープロファイル・ファイルには「何ができて、何をしようとしているか」が書いてあるわけで、それはちょうどプリンター達の「選手宣誓」のようなものである。当然、試合の前には「選手宣誓」が必要だろう。

 えっ、何を言いたいか判らないって?とりあえず、今回は「カラープロファイルで眺める各社のプリンターの性能比較」を始めるぞ、という私の「選手宣誓」である。話の本筋に入るのは次回以降ということにしておきたい。
 

2000-08-12[n年前へ]

あれから十五年 

夏によく滞在している川上村の真上を、あの飛行機は通り過ぎていった。あの夜は結局電話が通じないままだった。あれから十五年。



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