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2014-12-04[n年前へ]

「黒い世界」を白くしたい(黒背景の)黒川さんのポスター 



 (この記事、コピーセンス/デザインセンスに対して面白く感じたこと以外、全く他意はありません)…街中をいわゆる散歩な具合で無目的に歩いていると、1枚の選挙ポスターが奇妙な魅力を放っています。そこで思わず撮影したのが、右の写真です。いたって普通の選挙ポスターですが、どうしても気に掛かることが2点あります。

 どうして、この候補者名で「黒い政治を白く」というキャッチコピーを付けたのでしょう?そして、黒い政治を白くしたいはずなのに、どうして「背景が真っ黒のデザイン」にしたのでしょう?…そのコピーライティングセンスとデザインセンス(と選挙者名の不一致具合)がとても面白くて、何だか少し「特命係長」ぽっい奇妙な魅力さえ感じて、思わず写真を撮ってしまいました。

「黒い世界」を白くしたい(黒背景の)黒川さんのポスター






2014-12-07[n年前へ]

インド版「巨人の星」Suraj The Rising Star 

 インド版「巨人の星」”Suraj The Rising Star”を観て衝撃を受けた(ちなみに、巨人の星と言っても、主人公が頑張るのは野球ではなくてクリケット)。
 登場人物たちは、全員どれも糸で釣られた人形のように動く。いきなり飛んだボールは、あたかも等速度で動き続け、そして、瞬間的に完全停止する。動きが不自然極まりない。…そんな物理法則を完全に無視する不自然なアニメーションを眺めれば、いつも当たり前のように眺めていた自然なアニメーションを作る技術の凄さに気づかされるかも。

2014-12-14[n年前へ]

フェルメールが描いた「デルフトの眺望」と「デルフトの緯度」 

 フェルメールが「デルフトの眺望」が描いた場所を眺めたくて、朝7時過ぎ、フェルメールが景色を眺めていたはずのZoidkolkの辺り、運河が広くなり・直角に曲がる辺りに行ってみました。デルフトで観る12月の朝6時は、日本で言えば真夜中・深夜で、ただ暗闇の空に街並みが浮かび上がる景色です。

 北緯53度に位置するオランダ・デルフトの景色を眺めていると(札幌ですら緯度43度です)、冬近い晩秋の1日は、太陽が地平線から上り空を明るくし始めるのが朝の9時くらい、昼過ぎでも太陽は地平線近くの低い場所にずっと居て、まるで夕焼けか朝焼けのような光で地平を照らしている…ことに気づかされます。

 フェルメールが描くデルフトの景色や、同時代の画家たちが描くオランダの景色はとても魅力的で、刻々姿を変えていく(まるで夕焼け間近のような)柔らかく朱色に染まりつつある雲や空を、瞬間的にキャンバスに写し取る画家たちの技術は信じられない技巧に思えます。…けれど、オランダ・デルフトの緯度を考えてみれば、(日本で言えば)朝日や夕日のような角度で地球の大気を照らし・朝焼けや夕焼けのような色合いの光で照らされる空と街は、実は日の出から日暮れまでのほとんどの時間の「恒常的な、どの瞬間にも観ることができる普通の景色」でした。



 たとえば、 12月の今頃の朝の9時・11時・昼の13時にデルフトの街から眺めることができる太陽の高さをGoole Earthで眺めてみると、「デルフトの眺望(南北的には逆方向を眺めてます)」は下の画像のような具合になります。驚くほど、太陽が地平線に張り付いているのが、フェルメールが暮らし・その一生をかけて景色を描いた街で見ることができる風景でした。



フェルメールが描いた「デルフトの眺望」と「デルフトの緯度」フェルメールが描いた「デルフトの眺望」と「デルフトの緯度」






2014-12-17[n年前へ]

ダイソン製の「掌水飛ばし機」 

 ホテルのトイレに付属していた「掌の水を飛ばす器具」がダイソン製でした。掃除機や扇風機でなく、 掌水飛ばし機 By ダイソンは初めて見たので、とても新鮮です。ダイソンと言えば意外な形の扇風機や掃除機ですが、掌乾燥機の形は意外に普通の形です。

2014-12-20[n年前へ]

フェルメール「絵画芸術」をX線CTボリューム像で眺めてみよう!? 

 巨匠絵画の埋蔵文化財発掘をしてみたい!なんて3週間前に書きました。すると、フェルメール「絵画芸術」のX線CT画像があったので、ボリュームイメージにして眺めてみました。…フェルメールの絵は、粒径が粗いゴロゴロした顔料層の上に、粒径サブミクロン以下のきめ細やかなな層が塗り重ねられていて、それらの層の特性が違うために剥離・壊れやすい…というわけで、そんな層恒星を 次元的に眺めたくて、X線CTのボリュームイメージを眺めてみました。

 下の動画がフェルメール「絵画芸術」の派遣のX線CTボリューム像です。また、WebGLに対応したブラウザがあれば、ブラウザ上でもグリグリと動かし・眺めることができるようにもしておきました。

 ボリュームレンダリングしつつグリグリ眺めてみると、複数の油絵層が剥離つつあるさまや(内部で密かに広がっている絵具層間の空隙)を発見することができます。

 …次は、こうした層構成が「どんな風に見えるか」がわかるようなレンダリングでもしてみようと思います。

フェルメール「絵画芸術」をX線CTボリュームで眺めてみよう!?






2014-12-21[n年前へ]

フェルメール「ミルクを注ぐ女」の復元画像 

 「フェルメールの"The Milkmaid"を摸写してるうちに色々なことに気づいたよ」というこのページ(VERMEER, The Milkmaid: Notes On A Perspective Paradox (and the perspective of the original examined).)の内容がとても面白く、 中でも牛乳が入った容器を「描き直す前」のさまを復元してみた例が面白かったので、その描き直す前後の画像を並べてみることにしました*。左の画像が「牛乳が入った容器を描き直す前の想像で描いてみた図」で、右の画像が「描き直した後の現在のさま」です。

 以前、フェルメール「ミルクを注ぐ女」に描かれていたのは「空の水差しを押さえつける女」だった!?なんて話を書きました。今では見ることができない「ミルクを注ぐ女」の昔の姿を、「ミルクを注ぐ女」の描かれる過程を、そのさまを想像してみるのもとても楽しそうです。

 ライクスミュージアム(アムステルダム美術館)にあるミルクを注ぐ女を高解像度画像で眺めれば、そんな姿を想像できるような気もします**。


*リンク先には「部分画像」しか無かったので、合成して作ってみました。 **ライクスミュージアム(アムステルダム美術館)で実際に眺めてみても、小さくてなかなかわからないような気がします。

フェルメール「ミルクを注ぐ女」の復元画像フェルメール「ミルクを注ぐ女」の復元画像フェルメール「ミルクを注ぐ女」の復元画像






2014-12-22[n年前へ]

フェルメール「ミルクを注ぐ女」を3次元でグルグル回してみよう!? 

 VermeerのThe Milkmaid の3Dモデル(SketchUp向け)を作ってる人がいました。そこで、ダウンロードして、さまざまな方向からグルグルグルグル眺めてみます。…テーブルが(今は定説の)6角形でなくて4角形なのはご愛敬ですが、額縁に入った「向こう側」の世界がいきなり実体化したみたいで、面白く心地良いものです。

2014-12-28[n年前へ]

レンブラント・ライトをレンブラント「ユダヤの花嫁(イサクとリベカ)」に当てて3次元的に眺めてみよう!? 

 Raking light photography(測光線写真)と呼ばれる「側面から光を当て、美術品の凹凸を浮き上がらせるための写真」があります。そういった凹凸情報、あるいは凹凸情報を微分したような画像を使うことで、美術品の修復を行う際の参考情報にしたりします。ちょうど、17世紀の偉大な画家レンブラントが、「側面上方から光を当てる」レンブラント・ライトで被写体を描き出したのと同様に、絵画の微妙な形状や姿を映し出すのがRaking light photography(測光線写真)です。

 そうした測光線写真は数多く公開されていて、たとえば、、そのレンブラントの「ユダヤの花嫁(イサクとリベカ)- "The Jewish Bride (Isaac and Rebecca)"」であれば、こんな風に公開されていたりします

 こうしたRaking light photography(測光線写真) を眺めると「私たちは3次元情報を感じる」…ということは、コンピュータにだって測光線写真から絵画の3次元情報を復元できるはず…ということで、2014年の終わり近くの今日…WebGLベースのレンブラントの「ユダヤの花嫁(イサクとリベカ)3次元風…を作ってみました。

レンブラント・ライトをレンブラントの「ユダヤの花嫁(イサクとリベカ)」に当ててみよう!?レンブラント・ライトをレンブラントの「ユダヤの花嫁(イサクとリベカ)」に当ててみよう!?






2014-12-29[n年前へ]

世界3大ガッカリ展示のダヴィンチ「モナリザ」をブラウザ上で眺めてみよう!? 

 ルーブル美術館で眺めたレオナルド・ダヴィンチの「モナリザ」が世界三大ガッカリでした。薄暗い間接照明の下で遠巻きに眺めるだけならTVで眺める方がよっぽどリアルだ!と感じました。…そこで、今日は自分用に「モナリザ」リアル展示を作ってみました。

 形状情報をX線撮影画像から生成します。なぜなら、X線画像はある種の”積分"画像なので、積分=高さとして解釈するわけです。そして、さらに微細な形状(凹凸)は色撮影画像の高周波情報から周波数フィルタ的に作り出し、光沢情報は…とりあえず、(巨視的に変化が大きい箇所は微視的な変化構造も大きいと仮定して)形状の微分に依存するものとして作り出してみます。…という具合で作ってみたのが、このWebGL表示です

 データ処理が上手くなかったり、ネット転送用にデータを圧縮していたり、WebGLでのレンダリングがとても疎だったりするせいか、あんまりリアルじゃない気もしますが…それでも、ルーブル美術館の本物モナリザよりは、まだしもリアルに眺めることができるかもしれない…というわけで、今日は世界3大ガッカリ展示のダヴィンチ「モナリザ」をブラウザ上で眺めてみました。

世界3大ガッカリ展示のダヴィンチ「モナリザ」をブラウザ上で眺めてみよう!?世界3大ガッカリ展示のダヴィンチ「モナリザ」をブラウザ上で眺めてみよう!?






2014-12-30[n年前へ]

壊れかけのプロジェクタで(形状推定)巨乳ビジョン 

 神田無線の激安お得な液晶プロジェクタをいじっていたら…VGAコネクタの差し込みがイマイチ変な感じになって、ついにはそのVGAコネクタが(筐体内部で)取れてしまい、カランコロンと中で音がしてる状態になった。仕方がないので、内部を開けてみると、表面実装のコネクタが取れている。

 そんな壊れかけのラジオならぬ壊れかけのプロジェクタを使い、1/10スケールくらいの人形にパターン投影をして、位相シフト法で形状取得をしてみた。ところどころ位相推定に失敗しているところが見受けられるけど、比較的簡単に細かな形状計測ができるのは、なかなかに面白い。

 もしも、中2病に掛かる年頃だったなら、絶対ハンディな「巨乳ビジョン」とか作ってみたいかも。

壊れかけのプロジェクタで(形状推定)巨乳ビジョン壊れかけのプロジェクタで(形状推定)巨乳ビジョン






2014-12-31[n年前へ]

2014年を振り返る 

 大晦日には、この1年を振り返ってみる。今年は、色々トライしようとしたけれど…けれど実際には何もやり遂げることができなかった1年だったような気がする。…ただ、VRプラネタリウム勉強がSPM(走査プローブ顕微鏡)解析に繋がったり、ゴッホ絵画をWebGLで再現するための試行錯誤をしてみたら(その数ヶ月後に)オルセー美術館でその本物を眺めてたり、"Connecting the dots"を感じる1年でもあったかも。…繋がったけど・何もやり遂げることができなかったということを言い換えれば、それはつまり「タイミング(運)に準備が追いつかなかった年」ってことなんだけど。

  1. iOSでVRプラネタリウム体感プログラミングに熱中した1月
  2. 春節(旧正月)に台湾に行き(光華商場も休みで超残念…)、人類学者にお話を聴伺いに行く2月
  3. 雑文書きつつ、宇宙・天体関係者の方々の話を聴くことにハマる3月
  4. 超会議でニコニコ学会βに出てみたりSPM(走査プローブ顕微鏡)計測値を一風変わった解析するための研究をしてみたりした4月
  5. バンコクで空色シミュレーションをしたり、ゴッホ絵画をWebGLで再現しよう…的なことを始めた5月
  6. (「世界一受けたい授業」実験で)輪ゴムで空に人を飛ばしたり・超巨大なドミノ倒しをするための計算とかをしてみたり…の6月
  7. 昔ずっと住んでいた沼津近くの海で「ガリレオー真夏の方程式」ロケ地を眺めてみたり…な7月
  8. 奈良の山奥にレンダリングな日帰り旅行に行ってみたり(奈良観光もした)、偏光デジタルカメラを作って遊んでた8月
  9. フィラデルフィア美術館で特殊撮影にハマった9月
  10. OpenFOAM計算作業とOpenFrameworksプログラミングにハマってた10月
  11. バンコクやチェンマイで全天周撮影をしたり、昔住んでたあたりで10年振りくらいにスキーをしたり(TV撮影ロケだったけどボツネタになった)、Maker Faire Tokyo 2014に出てみたり…な11月
  12. フェルメールがデルフト眺望を描いた場所に早朝散歩に行ってみたり、パリでマンガや電子グッズショップを探しに行ってみたり、スカートめくりをしたい!という中学生のお手伝い調査をしてみたり、風邪でひたすら寝込んで(続行中)全く何もしなかった…な12月